「Horace Parlan - Movin' & Groovin' (Blue Note) 1960」特異なる個性を程よく押し出した好盤
「どす黒い」といった表現がぴったりな、一度ハマると容易に抜け出せなくなる特異なピアノ奏法が魅力のホレス・パーラン(Horace Parlan)。
唯一無比ともいえるピアノ奏法は、子供の頃に患ったポリオ(急性灰白髄炎)のために、右手が変形してる事から編み出されたモノの様です。
さて、今回ご紹介するアルバム「Movin' & Groovin' (Blue Note BST-84028)」は、ホレス・パーラン(Horace Parlan)のブルーノート(Blue Note Records)におけるリーダー・アルバム第1弾となります。
1959年末からアルバム録音に参加しているルー・ドナルドソン(Lou Donaldson)の「Sunny Side Up (Blue Note BLP-4036)」に収録される2回のセッションを取り終えた翌日である1960年02月29日、1回目のセッションで共演したトリオのメンバーがそのまま録音に参加しております。
つまりピアノのホレス・パーラン(Horace Parlan)、ベースのサム・ジョーンズ(Sam Jones)、ドラムスのアル・ハレウッド(Al Harewood)による演奏となっております。
またこのアルバムからシングル盤として、「Horace Parlan - C Jam Blues / Up In Cynthia's Room (Blue Note 45-1770)」と「Horace Parlan - Bags' Groove / There Is No Greater Love (Blue Note 45-1771)」が発売されている模様。
1曲目の「C Jam Blues」は、デューク・エリントン(Duke Ellington)作曲も超有名ブルース。
シングルカットされたこの曲から、同じフレーズを呪文の様に繰り返しつつ徐々に盛り上げるホレス・パーラン(Horace Parlan)の個性的で「どす黒い」演奏が堪能出来ます。
2曲目の「On Green Dolphin Street」は、比較的端正な演奏ではありますが、ソロになると「どす黒さ」全開(笑)。
3曲目の「Up In Cynthia's Room」は、ホレス・パーラン(Horace Parlan)自身のファンキー風味の作品。
4曲目の「Lady Bird」は、私が大好きなタッド・ダメロン(Tadd Dameron)の作品。ビバップ時代の名曲が、「どす黒さ」全開のファンキー風味で演奏されております。
5曲目の「Bag's Groove」は、ミルト・ジャクソン(Milt Jackson)作曲のこれまた有名なブルース。
ブルース好きなブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)が飛び上がって喜びそうな演奏を聴かせてくれます。
6曲目の「Stella By Starlight」は、バラッド風味のイントロからブラシによるハネ気味なリズムに乗り、軽快にスイングします。
7曲目の「There Is No Greater Love」は、ミディアム・テンポの演奏。やや耽美な雰囲気は、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)に通じるものがありますね。
8曲目の「It Could Happen To You」は、これまた軽快にスイングする1曲です。
Horace Parlan - Movin' & Groovin'
Blue Note BST-84028 / 東芝EMI TOCJ-4028 [1993.06.30]
side 1 (A)
01. C Jam Blues (Duke Ellington) 5:09
02. On Green Dolphin Street (Kaper, Washington) 5:26
03. Up In Cynthia's Room (Horace Parlan) 5:22
04. Lady Bird (Tadd Dameron) 5:00
side 2 (B)
05. Bag's Groove (Milt Jackson) 5:45
06. Stella By Starlight (Washington, Victor Young) 6:01
07. There Is No Greater Love (Jones, Martin Symes) 6:42
08. It Could Happen To You (Van Heusen, Burke) 3:19
Horace Parlan (p) Sam Jones (b) Al Harewood (ds)
February 29, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
ブルーノート(Blue Note Records)第1弾の「Movin' & Groovin' (Blue Note BST-84028)」は、有名曲をずらっと並べ、ホレス・パーラン(Horace Parlan)の個性を程よく押し出した好盤となっております。
次作「Horace Parlan - Us Three (Blue Note BLP-4037)」では、ベースをジョージ・タッカー(George Tucker)に変え、表題曲で「どす黒い」個性全開の、強烈すぎる演奏を聴かせてくれる事となります。
ちなみに前回ご紹介したアルバム「Lou Donaldson - The Time Is Right (Blue Note BLP-4025)」にも、ホレス・パーラン(Horace Parlan)は参加しております。