ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)とチェット・ベイカー(Chet Baker)という若き才能が結成したピアノレス・カルテットは、フロントの二人の容姿もさることながら、これまでにない洒脱でモダンなサウンドにより、大人気となっていた様です。
ニューユーク生まれのバリトンサックス奏者で作編曲もこなすジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)は、1940年代後半からクロード・ソーンヒル(Claude Thornhill)楽団などのビックバンドに編曲を提供した流れで、1940年代末録音の「クールの誕生(Birth Of The Cool)Capitol T-762」に自作・編曲の「Jeru」、「Venus De Milo」や、他楽曲の編曲を提供し、作編曲者としての名声を高めていきます。
さて、作編曲もこなすジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)が、映画音楽の仕事がある西海岸に移住してきたのが、1952年の事だそうで。
1952年といえば、クスリにハマってボロボロになりかけていたマイルス・デイヴィス(Miles Davis)が、故郷でクスリと手を切れずうだうだ足掻いていた時期だった記憶があるので、当時の東海岸にはジャズ関連の仕事があまりなかったと推測します。
ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)が西海岸に移住した時期(1952年)に、彗星の如く登場したトランペッターがチェット・ベイカー(Chet Baker)です。
チェット・ベイカー(Chet Baker)は、西海岸に乗り込んできたチャーリー・パーカー(Charlie Parker)が、現地でバンドを組むために行ったオーディションで見いだされたのが、ジャズ・ファンに知られるきっかけだったみたいです。
パーカー自身が「西海岸に凄いトランペッターを見つけたぞ」と知り合いのミュージシャンにふれまわったため、「チャーリー・パーカー(Charlie Parker)お墨付き」のトランペッターとして、いきなり脚光を浴びる事になった訳でございます。
西海岸に移住してきたジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)が、彗星の如く登場した新進気鋭のトランペッター、チェット・ベイカー(Chet Baker)とバンドを組むに至る経緯はよく分からないのですが。
当初はピアニストのジミー・ロウルズ(Jimmy Rowles)を加えたバンドを想定していたらしいですが、紆余曲折を経て、皆様ご存じの斬新なピアノレス・カルテットとして活動を開始したみたいです。
さて、1952年という年は、ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)の西海岸移住、チェット・ベイカー(Chet Baker)の登場に加え、リチャード・ボック(Richard Bock)という若者がパシフィック・ジャズ(Pacific Jazz Records)を創業した年でもあります。
今回ご紹介する「Gerry Mulligan Quartet Vol. 1 (Pacific Jazz PJLP-1)」は、パシフィック・ジャズ(Pacific Jazz Records)創業初期に録音された「Gerry Mulligan Quartet」の演奏を収めたアルバムです。
当初は10インチ・レコードとして発売されたため、2001年に発売されたCD(東芝EMI TOCJ-9341)には10曲もの追加曲が収録される事となります。
さて、ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)カルテットの代表曲である1曲目「Bernie's Tune」をお聴きただくと、彼らのモダンでお洒落なサウンドが当時、評判になった訳を、何となくご理解いただけるかと思います。
ピアノレス・カルテットだからこそ生み出せるアンサンブルとドライブ感。
今、聴いても色あせないサウンドが素晴らしいですね。
6曲目の「Freeway」は、珍しいチェット・ベイカー(Chet Baker)の手による作品です。
ジェリー・マリガン(Gerry Mulligan)とチェット・ベイカー(Chet Baker)が織りなすアンサンブル、魅力的なソロは素晴らしいの一言です。
ボーナス・トラックには、「クールの誕生(Birth Of The Cool)Capitol T-762」でお馴染みの名曲「Godchild」のライブ・バージョンが収録されております。
ここでの、チェット・ベイカー(Chet Baker)は、マイルスに引けを取らないトランペット・ソロを聴かせてくれます。
Gerry Mulligan Quartet Vol. 1 +10
Pacific Jazz PJLP-1 / 東芝EMI TOCJ-9341 [2001.11.28]
side 1 (A)
01. Bernie's Tune (Miller) 2:54
02. Walkin' Shoes (Gerry Mulligan) 3:14
03. Nights At The Turntable (Gerry Mulligan) 2:54
04. Lullaby Of The Leaves (Young - Patkere) 3:15
side 2 (B)
05. Frenesi (Dominguez - Whitcup) 3:11
06. Freeway (Chet Baker) 2:47
07. Soft Shoe (Gerry Mulligan) 2:40
08. Aren't You Glad You're You (Burke - Van Heusen) 2:53
CD Bonus Tracks
09. Utter Chaos, #1 (trad) 0:36
10. Haig And Haig (Dinah) (Akst - Lewis - Young) 2:58
11. She Didn't Say Yes, She Didn't Say No (Kern - Harbach) 2:35
12. Makin' Whoopee (Kahn - Donaldson) 3:29
13. Cherry (Gillespie - Daniels) 2:58
14. Motel (Gerry Mulligan) 2:37
15. Carson City Stage (Carson Smith) 2:32
16. Aren't You Glad You're You (Live) [January, 1953 at The Haig] (Burke - Van Heusen) 3:40
17. Get Happy (Live) [January, 1953 at The Haig] (Arlen - Koehler) 5:52
18. Poinciana (Live) [January, 1953 at The Haig] (Simon - Bernier - Liso) 3:52
19. Godchild (Live) [January, 1953 at The Haig] (George Wallington) 3:56
#01,04,09 August 16, 1952 at Phil Turetsky's House, Los Angeles, CA.
Chet Baker (tp) Gerry Mulligan (bs) Bob Whitlock (b) Chico Hamilton (ds)
#02,03,05-08 October 15 & 16, 1952 at Gold Star Studios, Los Angeles, CA.
Chet Baker (tp) Gerry Mulligan (bs) Bob Whitlock (b) Chico Hamilton (ds)
#10,11 July 9, 1952 at Phil Turetsky's House, Los Angeles, CA.
Chet Baker (tp) Gerry Mulligan (bs) Jimmie Rowles (p) Joe Mondragon (b)
#12-15 February 24, 1953 at Gold Star Studios, Los Angeles, CA.
Chet Baker (tp) Gerry Mulligan (bs) Carson Smith (b) Larry Bunker (ds)
#16-19 early January, 1953 at The Haig, Hollywood, CA.
Chet Baker (tp) Gerry Mulligan (bs) Carson Smith (b) Chico Hamilton (ds)