Bud Powell - Piano Interpretations By Bud Powell (Verve) 1955
天才と呼ばれるジャズ系ミュージシャンは、常人が絶対にやらないであろう「奇行」を平気で行う人が多い様で・・・ミュージシャンではありませんが、私も知人に「天才」が居て、ぶっ飛んだ行動を実際に見聞きしているんで、「天才の功罪」に関しては、多少の実体験とか理解があったりします。
一般的に品行方正なミュージシャンの筆頭格に挙げられる早世した天才トランペット奏者・クリフォード・ブラウン(Clifford Brown)でさえ、車の運転が好きな「スピード●」であり、自動車事故で長期間の入院を余儀なくされていたりします。
分かりやすい、奇行が目立つ(●った)ミュージシャンと言えば、天才ベーシストであるジャコ・パストリアス(Jaco Pastorius)を思い浮かべる人も多いかと思われますが、彼に匹敵する奇行エピソードに事欠かないのが、天才ピアニストとして今も語り継がれるバド・パウエル(Bud Powell)です。
普段は優しいのに、何らかの「スイッチ」が入ると奇行に走るバド・パウエル(Bud Powell)は、1945年の警官からの暴行と、1947年末から1948年10月まで精神疾患の治療として受けさせられた「電気ショック療法」により心身ともに破壊されたのか、1966年07月31日、41歳という若さで亡くなるまで、好不調の波が激しい録音を多数、残すことになります。
さて、今回紹介するアルバム「Bud Powell - Piano Interpretations By Bud Powell (Verve MGV-8167/Norgran MGN-1077)」は、1955年04年25日と27日の二日に渡る録音から編纂されたもので、好不調の波が激しい時期にしては比較的、安定した演奏を聴く事が出来るアルバムだったりします。
中でも4曲目、唸り声を上げつつ疾走する自作曲「Willow Groove」を聴いていただけると、その好調ぶりを理解していただけると思います。
クラシカルでロマンテックな雰囲気で演奏されるバラッド風の9曲目「Stairway To The Stars」も良いですね。
という訳で「Bud Powell - Piano Interpretations By Bud Powell (Verve MGV-8167/Norgran MGN-1077)」は、ヴァーブ(Verve)時代後期のアルバム群の中で、聴き易い部類に入るアルバムだと思います。
「Norgran MGN-1077」バージョンのジャケットで再発される事もある様なので、参考までに掲載しておきます。
Bud Powell - Piano Interpretations By Bud Powell
Verve MGV-8167/Norgran MGN-1077 / POCJ-27423 [1999.06.23]
side 1 (A)
01. Conception (George Shearing) 3:36
02. East Of The Sun (And West Of The Moon) (Brooks Bowman) 3:55
03. Heart And Soul (H. Carmichael, F. Loesser) 3:18
04. Willow Groove (Bud Powell) 4:25
05. Crazy Rhythm (J. Meyer, R. W. Kahn, I. Caesar) 3:36
side 2 (B)
06. Willow Weep For Me (Ann Ronell) 4:43
07. Bean And The Boys (Coleman Hawkins) 5:14
08. Lady Bird (Tadd Dameron) 4:44
09. Stairway To The Stars (M. Malneck, F. Signorelli, M. Parish) 4:55
#01,03,05,06 April 25, 1955 at Fine Sound, NYC.
Bud Powell (p) George Duvivier (b) Art Taylor (ds)
#02,07,08,09 April 27, 1955 at Fine Sound, NYC.
Bud Powell (p) George Duvivier (b) Art Taylor (ds)