「Bud Powell - Jazz Giant (Verve) 1949,1950」初期の覇気に満ち溢れた演奏
ノーマン・グランツ(Norman Granz)が手掛けた、1949年から1950年にかけた天才ピアニストであるバド・パウエル(Bud Powell)初期の、覇気に満ち溢れた演奏を収めたアルバムが「Jazz Giant (Verve MV-2533)」です。
バド・パウエル(Bud Powell)は、左手でコードを弾き、右手でシングル・トーン中心のアドリブを弾くという、ビ・バップ以降のジャズ・ピアノ演奏の基準となる演奏スタイルを確立した事でも知られており、ベースとドラムスはひたすらリズム・キープに徹する事から、バラッド演奏などにおいては、バド・パウエル(Bud Powell)のソロで録音される事が多かった様に思われます。
アルバム前半(#01-06)は、1949年02月頃に録音されたセッションで、ベースがレイ・ブラウン(Ray Brown)、ドラムスがマックス・ローチ(Max Roach)という名手が顔を揃えております。
また、バド・パウエル(Bud Powell)自身のオリジナル曲が大半を占めるセッションでもあります。
急速調で覇気満ち溢れる自作である1曲目「Tempus Fugue-it」、ゆったりとしたテンポで軽快にスイングする同じく自作曲である2曲目「Celia」、アップテンポにもかかわらず前のめり気味なピアノ演奏を聴かせてくれる超有名スタンダードである3曲目「Cherokee」と息もする暇を与えぬほど演奏が続きます。
続いて、ソロで美しいバラッド演奏を聴かせる、これまた自作曲の4曲目「I'll Keep Loving You」、如何にもバド・パウエル(Bud Powell)っぽいフレーズが頻出するミディアムテンポの自作曲である5曲目「Strictly Confidential」、超アップテンポでまばゆいばかりの演奏を聴かせる6曲目「神の子は皆踊る(All God's Chillun Got Rhythm)」という感じで、あっという間に前半のセッションは終了していきます。
アルバム後半(#07-13)は、1950年02月に録音されたセッションで、ベースがカーリー・ラッセル(Curley Russell)に代わり、ドラムスはマックス・ローチ(Max Roach)が引き続き参加しております。
こちらのセッションは、ジャズ・スタンダードが大半を占めておりますね。
軽快にスイングするこのセッション唯一、バド・パウエル(Bud Powell)自身のオリジナルを演奏する7曲目「So Sorry Please」、超アップテンポの8曲目「Get Happy」、ゆったりとスイングする9曲目「Sometimes I'm Happy」、再び超アップテンポの演奏となる10曲目「Sweet Georgia Brown」と前半同様、一気呵成に演奏が進んでいきます。
珍しくミディアムテンポで明るめなソロで演奏される11曲目「Yesterdays」、ソロかなと思いきや、ソロに入るとかすかにベースとドラムスが聴こえてくるバラッド演奏の12曲目「April in Paris」、高音部の響きを効果的に使い、きらびやかなバラッド演奏を聴かせる13曲目「Body and Soul」でアルバムは幕を閉じていきます。
後のバド・パウエル(Bud Powell)に心酔したピアニストがバドの曲を演奏する時は、このアルバム「Jazz Giant (Verve MV-2533)」に収録された曲を演奏する事が多い様な印象がありますね。
あと、バラッド演奏の12曲目「April in Paris」は、バド・パウエル(Bud Powell)を特に可愛がっていたこれまた天才ピアニスト、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)のソロと聴き比べてみるのも、面白いかと思われます。
Bud Powell - Jazz Giant
Norgran MG N-1063 / Verve MV-2533 / UCCV-9165 [2004.09.01]
side 1 (A)
01. Tempus Fugue-it (Bud Powell) 2:29
02. Celia (Bud Powell) 3:01
03. Cherokee (Ray Noble) 3:39
04. I'll Keep Loving You (Bud Powell) 2:43
05. Strictly Confidential (Bud Powell) 3:10
06. All God's Chillun Got Rhythm (Bronislaw Kaper, Gus Kahn, Walter Jurmann) 3:02
07. So Sorry Please (Bud Powell) 3:18
side 2 (B)
08. Get Happy (Harold Arlen, Ted Koehler) 2:55
09. Sometimes I'm Happy (Vincent Youmans, Irving Caesar) 3:40
10. Sweet Georgia Brown (Maceo Pinkard, Kenneth Casey) 2:51
11. Yesterdays (Jerome Kern, Otto Harbach) 2:53
12. April in Paris (Vernon Duke, E.Y. "Yip" Harburg) 3:12
13. Body and Soul (Johnny Green, Edward Heyman, Robert Sour, Frank Eyton) 3:21
#01-06 February 23, 1949 in NYC.
Bud Powell (p) Ray Brown (b except #4) Max Roach (ds except #4)
#07-13 February 1950 in NYC.
Bud Powell (p) Curley Russell (b except #11) Max Roach (ds except #11)