加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

Herbie Hancock – The Herbie Hancock Trio (CBS/Sony) 1977

いわゆるアコーステック・ジャズの人気がロックに押され衰退した1960年代末、マイルス・デイヴィスMiles Davis)を筆頭にしたミュージシャン達がロック、ファンク等のテイストを取り入れた音楽の制作を始めていきます。

 

そんな、クロスオーバー(フュージョン)・サウンドの要となる有能なギタリストが多数登場し、オルガンに加えキーボードという電子楽器がカラフルなサウンドを、スタジオやライブ会場に響かせていた1970年代後期、「クロスオーバー・サウンドもいいけど、アコーステックなジャズもそろそろ聴きたいね」的な機運が高まり、1980年代初頭、ウイントン・マルサリス(Wynton Marsalis)を筆頭とする「新伝承派」と日本では呼ばれたミュージシャン達が、アコーステック・ジャズに回帰した作品を次々と制作していく流れに繋がる訳です。

 

さて、そんな「アコーステック・ジャズ回帰」でいち早く商業的に成功を収めた一人で当時、クロスオーバー(フュージョン)・サウンドで、かつてのボス、マイルスを凌ぐ人気者となっていたハービー・ハンコックHerbie Hancock)であったりします。

 

そんなハービー・ハンコックHerbie Hancock)が出演した1976年06月29日開催の「Newport Jazz Festival」における目玉企画の一つが、1960年代に活動していたマイルス・デイヴィスMiles Davis)率いるアコーステック・クインテットの再結成であったそうで。

 

1975年09月のステージを最後に、公の場に姿を現さなくなったマイルスの登場は期待されてはいたものの、実際にステージに姿を現す可能性は極めて低い事は最初から織り込み済みだったらしく、マイルスの代役としてフレディ・ハバードFreddie Hubbard)を抜擢。ブルーノート(Blue Note Records)時代の延長線上にあるアコーステック・サウンドで観客を大いに沸かせたみたいです。

 

その時の白熱のステージは、アルバム「Herbie Hancock - V.S.O.P. (Columbia PG-34688)」で聴く事が出来ますね。

 

 

さて、ハービー・ハンコックHerbie Hancock)がアコーステック・サウンドに回帰した事に一番狂喜乱舞したのが、日本のジャズ・ファンであったらしく、日本主導でアコーステック・サウンドによるアルバムを制作する流れに繋がったと思われます。

 

という事で、「V.S.O.P. Quintet」と呼ばれるメンバーが白熱のライブを繰り広げた1年後の1977年07月13日、1960年代のマイルス・デイヴィスMiles Davis)アコーステック・クインテットのリズム隊、つまり、ピアノのハービー・ハンコックHerbie Hancock)、ベースのロン・カーターRon Carter)、ドラムスのトニー・ウィリアムスTony Williams)の3人(トリオ)がカリフォルニア州サン・フランシスコにある「The Automatt Recording Studios」に集結。

 

ほぼ、ハービー・ハンコックHerbie Hancock)の自作曲を演奏したアルバムが「The Herbie Hancock Trio (CBS/Sony 25AP-650)」となります。

 

Herbie Hancock – The Herbie Hancock Trio (CBS/Sony) 1977

最初、「CBS/Sony」から発売されてますので、まあ、日本企画のアルバムなんでしょう。


ちなみに1977年と言えば、07月22日から24日にかけ、第1回目となる「ライブ・アンダー・ザ・スカイ (Live Under the Sky)」が開催された年です。ハービー達は、「V.S.O.P. Quintet」のメンバーとして来日しています。

 

2曲目「Speak Like A Child」は、ブルーノート(Blue Note Records)に残された大傑作アルバムの表題曲でありますが。

 


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ハービー・ハンコックHerbie Hancock)のピアノの弾き方はロック・ファンク寄りであり、トニー・ウィリアムスTony Williams)のドラムスもかなりタイトなロック風味な叩き方である事に、録音当時の時代性を感じる方も多いかと思われます。

 

 

 

アルバム最後、5曲目はマイルス・デイヴィスMiles Davis)のアコーステック・クインテットでも度々演奏していた「Milestones」です。

 


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この曲はアコーステック度高め、比較的端正な演奏の様に感じますね。

 

Herbie Hancock – The Herbie Hancock Trio (CBS/Sony) 1977

※ジャケット裏の写真は「Discogs」からお借りしました。

 

ジャケット裏には、録音当時のメンバーの写真が掲載されておりますが、アフロ・ヘアーのハービー・ハンコックHerbie Hancock)に、ラフな格好で髭を生やしたトニー・ウィリアムスTony Williams)とロン・カーターRon Carter)が写っているのが、アコーステック・ジャズ回帰前のアメリカのジャズ・シーンを象徴しているようにも感じます。

 

Herbie Hancock – The Herbie Hancock Trio
CBS/Sony 25AP-650 / Sony SRCS-7051 [1992.07.01]

side 1 (A)
01. Watch It (Herbie Hancock)  12:25
02. Speak Like A Child (Herbie Hancock)  13:04

side 2 (B)
03. Watcha Waitin For (Herbie Hancock)  6:20
04. Look (Herbie Hancock)  7:41
05. Milestones (Miles Davis)  6:40


Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Tony Williams (ds) 

July 13, 1977 at The Automatt Recording Studios, San Francisco, CA.