加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Joe Newman – At Count Basie's(Mercury)」ファンキーで重厚なるコンボ作品

棚とデータを整理してて久々に聴いたら、ジョー・ニューマンとオリバー・ネルソンが何故か共演してる「At Count Basie's(Mercury)」が、とっても良かったので紹介しちゃいます。

 

黄金期のカウント・ベイシーCount Basie)楽団のメンバーとして名高いジョー・ニューマン(Joe Newman)名義のアルバム「At Count Basie's(Mercury)」。

この作品は、ニューヨークのジャズクラブ「Count Basie's」で録音されたライブ盤です。

録音当時39才だったジョー・ニューマンがベイシー楽団を独立した直後、当時30才の作編曲家オリバー・ネルソン(Oiver Nelson)をフロントの相方に据え、30才前後のファンキーにスイングするリズム隊を従えての録音。

 

小編成のコンボ作品にも関わらず、リフの部分で重厚なるサウンドを聴かせてくれているので、編曲は多分、オリバー・ネルソン(Oiver Nelson)が関わっているものと推測されます。

 

「Joe Newman – At Count Basie's(Mercury)」重厚なるサウンドのコンボ作品

 

アルバム1曲目は「Caravan」。

デューク・エリントンDuke Ellinton)楽団でお馴染みの作品ですが、リフの部分などで聴かれる、さり気ない編曲(アンサンブル)が面白いです。

ミュートで熱く演奏するジョー・ニューマン(Joe Newman)に続き、ダーティにブローするオリバー・ネルソン(Oliver Nelson)も素晴らしい。


歌伴ピアニストらしい小粋な雰囲気でファンキーなフレーズを弾く、ロイド・メイヤー(Lloyd Mayers)も良いですし、時々聞える興奮した観客の歓声や拍手からも、エキサイトしたライブの臨場感を味わう事が出来ます。


続いてジョー・ニューマンの歌心溢れる、ややファンキー風味の「Love Is Here To Stay (Gershwin)」、ブルージーな「Someone To Love (Mayfield)」と続きます。

 

超アップテンポで演奏されるジョー・ニューマン(Joe Newman)自作の「The Midgets」。

変幻自在にアクセントをつけるリズム隊と丁々発止のやりとりをするフロント2人のソロが凄いですね。

 

一転してミディアムテンポのリラックスした「On Green Dolphin Street」では、テナーのオリバー・ネルソン(Oliver Nelson)とベースアート・デイヴィス(Art Davis)が、素敵なソロを聴かせてくれます。

 

アルバム最後を飾るファンキー風味のブルース「Wednesday’s Blues」では、各人趣味の良いソロを聴かせてくれます。

「ブルースの真実 (Impulse!)」というアルバムを録音してるオリバー・ネルソン(Oliver Nelson)のさりげない活躍が、ここでも活きてきますね。

 

Joe Newman – At Count Basie's (1961)
Mercury SR-60696 / Verve 000393802

side 1 (A)
01. Caravan (Ellington, Mills, Tizol) 9:51
02. Love Is Here To Stay (Gershwin) 4:39
03. Someone To Love (Mayfield) 5:52

side 2 (B)
04. The Midgets (Joe Newman) 4:28
05. On Green Dolphin Street (Kaper, Washington) 5:59
06. Wednesday’s Blues (Joe Newman) 8:13


Joe Newman (tp) Oliver Nelson (ts) Lloyd Mayers (p) Art Davis (b) Ed Shaughnessy (ds) 

Recorded 1961 at Count Basie's Club, NYC.

 

アット・カウント・ベイシーズ(紙)

アット・カウント・ベイシーズ(紙)

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「ジャズ人名事典」にも載っていない2人を、ライナー等を参考にご紹介。

 

当時32才、程よいファンキーさがたまらないピアノの「ロイド・メイヤース(Lloyd Mayers)」。サイトメンとして「Eddie Vincent's Band」と、「Eddie Davis - Johnny Griffin Group」に参加。多くの女性歌手(Dinah Washington, Josephine Baker, Nancy Wilson)の伴奏を務めていた模様。

 

ドラムの「Ed Shaughnessy(読めないので英語表記まんま)」は当時33才。「Charlie Ventura」、「Benny Goodman」、「Tommy Dorsey」などのバンドを経て、60年代後半には、カウント・ベイシーCount Basie)楽団にも参加。「Doc Severinsen and the Tonight Show Band」のドラマーとして有名だそうです。

 

●蛇足その1


そういえば昔「NHK-FM」のセッションというスタジオライブ番組で、丁度来日してたジョー・ニューマン(Joe Newman)が「Caravan」を演奏してたのですが。

このアルバム「At Count Basie's(Mercury)」と同じフレーズで、出だしのソロを演奏していた記憶があります(笑)。

 

●蛇足その2

 

ジョー・ニューマン(Joe Newman)は、黄金期のカウント・ベイシーCount Basie)楽団に在籍(1943-46/1952-61)しておりました。

 

April in Paris

April in Paris

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ベイシー・イン・ロンドン+4

ベイシー・イン・ロンドン+4

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1956年の「April in Paris (Verve) 」、「Basie in London (Verve)」という2枚のライブ。

 

Complete Atomic Basie

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1957年の「The Atomic Mr. Basie (Roulette)」というスタジオアルバムが比較的入手しやすいかと。

 

 

ブルースの真実

ブルースの真実

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オリバー・ネルソン(Oliver Nelson)に目を向けると、1961年02月には大名盤「Oliver Nelson - The Blues and the Abstract Truth(ブルースの真実) (Impulse!)」を録音してますね。

 

 

クインテッセンス

1961年末に録音されたクインシー・ジョーンズの大名盤「Quincy Jones - The Quintessence (Impulse!)」では、3曲でジョー・ニューマン(Joe Newman)とオリバー・ネルソン(Oliver Nelson)が共演しております。

 

 

ワーク・ソング

ワーク・ソング

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このアルバムで聴かれるジョー・ニューマン(Joe Newman)のファンキーなミュート・トランペットがお好きであれば、ナット・アダレイNat Adderley)のリーダー作品「Work Song」を、お勧めしときます。