私は愛聴する、フレディ・ハバード（Freddie Hubbard）の後釜としてリー・モーガン（Lee Morgan）が復帰した、３管ジャズ・メッセンジャーズの好盤「Indestructive (Blue Note BST-84193)」。
日本のミュージシャンが何故かこのアルバムに収録された「Calling Miss Khadija」を演奏したり、メンバーは違いますが収録曲を演奏してるVHSビデオテープを持ってたりするので、愛着のある１枚です。
過去記事調べてみたら、アルバム丸ごとレビューしたものなかったようなので、連休中だし、新規に書き下ろしてみます。
３管ジャズ・メッセンジャーズの要、トロンボーンのカーティス・フラー（Curtis Fuller）が書き下ろした１曲目の「The Egyptian」は、タイトルで察する事が出来る通り、分厚いハーモニーが魅力的な異国情緒あふれる曲調。
アート・ブレイキー（Art Blakey）のきめ細やかなバッキングも聴きどころのひとつ。
カーティス・フラー作曲の２曲目「Sortie」は、シャッフルリズムを混ぜた重厚な曲調。
ソロの最初に登場するリー・モーガン（Lee Morgan）が、情熱的なブローを聴かせてくれます。
リー・モーガン作曲の３曲目「Calling Miss Khadija」は、３拍子のナンバー。
「Kozo's Waltz」とか、リー・モーガン作曲の３拍子の曲って案外、多い気がします。
リー・モーガンは、復帰後のアルバム群でお馴染みのソロフレーズが、端々に出て来ます。ソロの途中で聴かれるバックリフも３管ならではの醍醐味ですね。
４曲目はシダー・ウォルトン（Cedar Walton）作曲の耽美的なバラッド「When Love Is New」。
耽美的といえばこの方、音楽監督でもあるウェイン・ショーター（Wayne Shorter）が、テーマをリードし、他の曲で吹きまくるリー・モーガンとカーティス・フラーは、大人しくアンサンブルにまわります。
ウェイン・ショーターからリー・モーガンへのソロ・リレーも流石。この辺りのバランス配分が、３管メッセンジャーズの魅力なんでしょうね。
オリジナルアルバムのラスト、ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）作の５曲目「Mr. Jin」は、ウェイン・ショーターらしい陰影の濃い曲です。
ＣＤでは、ボーナス・トラックとして５曲目にウェイン・ショーター（Wayne Shorter）作曲の軽快な「It's A Long Way Down」を追加収録しております。
この曲は最初、日本のキングレコードが1979年に「ブルーノート世界初登場1800シリーズ」の１枚として発売された、ジャズ・メッセンジャーズの未発表拾遺集「Pisces (GXF-3060)」に収録されたものです。
Art Blakey and The Jazz Messengers - Indestructive +1 (RVG)
Blue Note BST-84193 / 東芝EMI TOCJ-9518 [2003.07.24]
side 1 (A)
01. The Egyptian (Curtis Fuller) 10:25
02. Sortie (Curtis Fuller) 8:13
side 2 (B)
03. Calling Miss Khadija (Lee Morgan) 7:22
04. When Love Is New (Cedar Walton) 6:02
05. Mr. Jin (Wayne Shorter) 7:05
CD bonus track
06. It's A Long Way Down (Wayne Shorter) 5:25
Lee Morgan (tp) Curtis Fuller (tb) Wayne Shorter (ts) Cedar Walton (p)
Reggie Workman (b) Art Blakey (ds)
#01-03,05 May 15, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
#04 April 24, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
#06 April 15, 1964 at Rudy Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
なお「The Egyptian」に関しては、メンバーは多少異なりますが、BBCテレビの「Jazz 625」という番組で収録されたライブ映像もあったりします。
「Indestructive (Blue Note BST-84193)」は、ブルーノート（Blue Note Records）からリアルタイムで発売されたアルバムとしては、一番最後のアルバム（だったはず）。
以降のアルバムは全て、お蔵入り音源を公式にアルバム化したものだった記憶があります。
見落とされがちですが、リー・モーガン入りの３管ジャズ・メッセンジャーズという珍しさと、演奏の充実具合から、私は一時期、延々聴いておりました（笑）。
さて、この時代のジャズ・メッセンジャーズは、ウェイン・ショーター（Wayne Shorter）が音楽監督を務めておりましたが。
「Night Dreamer (Blue Note BLP-4173)」と「Juju (Blue Note BLP-4182)」をブルーノートに録音した後、しつこく勧誘してたマイルス・デイヴィス（Miles Davis）に引き抜かれてしまうんですよね。
ジャズ・メッセンジャーズ名義のアルバムがこれ以降、ブルーノートで途絶えたのは多分、音楽監督のウェイン・ショーターが抜けちゃったからなんでしょうね。
マイルス・デイヴィスのバンドに加入した後のウェイン・ショーター（Wayne Shorter）のアルバム群については、おいおいと・・・。
