加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia (Blue Note) 1960」決定版・チュニジアの夜

そろそろ、「初心者お勧めの大名盤」の中から1枚、紹介しましょうかね・・・。

まあ、資料見つけて書き出したものの文章まとまらず、未だ保留中のアルバムが何枚かあったりしますので、少しづつ放出しておかないと(笑)。

 


さて今回紹介するアルバムは、アート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)の大名盤「A Night In Tunisia (Blue Note BST-84049)」です。

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia (Blue Note) 1960」決定版・チュニジアの夜

 

オリジナルアルバムは1960年08月07日と14日、2日間に渡るセッションから厳選した5曲を収録。


中でも、リーダーのアート・ブレイキー(Art Blakey)が度々演奏している、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)の名曲「A Night In Tunisia(チュニジアの夜)」は、アルバムタイトルにするほど決定版かつ極上の演奏となりました。

 

このアルバムのバージョンは、フロントの二人にもパーカッションを持たせ、アート・ブレイキーのドラムによる見せ場を多々設定した11分にも及ぶ演奏です。

 

ちなみに1960年以降、ヨーロッパ各地に残されたライブ版「A Night In Tunisia(チュニジアの夜)」のオリジナルはこの演奏です。間違いない(古いな)。

 

ちなみに「A Night In Tunisia」、ジャズ・メッセンジャーズ(The Jazz Messengers)のライブでは、最晩年まで「Moanin'」と並ぶ定番曲として演奏されておりましたし、私も「マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル」の会場で、豆粒大のメンバーを仰ぎ見つつ、会場後方で生演奏を聴いてた事あります。

 

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia (Blue Note) 1960」決定版・チュニジアの夜

 

その他の4曲は、参加メンバーが提供したオリジナル曲であります。

音楽監督であるウェイン・ショーターWayne Shorter)は「Sincerely Diana」を、またボビー・テイモンズ(Bobby Timmons)は名曲「So Tired」を提供。

残りの2曲は、リー・モーガンLee Morgan)が「Yama(後の Zambia ね)」と「Kozo's Waltz(小僧のワルツ)」を提供しております。

 


超有名アルバムなんで、自然と前置きが長くなってしまいますが。

そろそろ「A Night In Tunisia (Blue Note BST-84049)」の、簡単な曲紹介に移行します。

 

 

アート・ブレイキー自身が「サンダー・ボルト」と形容するドラム・ソロから始まる1曲目「A Night In Tunisia(チュニジアの夜)」。

フロントのお二人も、自分の演奏がお休みの時はパーカッションに持ち替えて後ろで何やら、ガチャガチャやってます。

 


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煽りまくるリズム・セクションを返り討ちにするかの如く、壮絶なブローを決めまくるリー・モーガンが凄いですね。流石、ディジー・ガレスピーDizzy Gillespie)の楽団に10代で参加し、可愛がられていただけの事はあります。

 

そしてラストでは、敵にトドメを刺すかの如く、無伴奏リー・モーガンウェイン・ショーターが、壮絶なカデンツァ・ソロをキメておりますが、まあこんな感じで、闇夜のチュニジアの街に討ち入りをかけるかのような壮絶な演奏が、延々と続く訳です。

 

なおこの曲は、1960年にジューク・ボックス向けのシングル盤「A Night In Tunisia Part 1 & 2 (Blue Note 45-1796)」としても発売されている模様。

 


2曲目、お次はウェイン・ショーターWayne Shorter)作曲の「Sincerely Diana」です。

これは当時、アート・ブレイキー夫人であったダイアナさんに贈った曲のようで、ウェイン・ショーターらしいテーマ部にやや幻想的な雰囲気漂う軽快な曲です。

 


3曲目、アート・ブレイキーリムショットが冴えるボビー・テイモンズ(Bobby Timmons)作曲の「So Tired」は、ジャズ・ロック風のファンキー・ナンバー。

 


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ウェイン・ショーターのくすんだ音色で奏でられるソロに続き、リー・モーガンの機関銃で乱射しているかの如き16分音符を連発するソロがカッコいいですね。

 

作曲者のボビー・テイモンズはフレーズにやや、ためを利かせたソロで応戦致します。

「So Tired」も1960年に、ジューク・ボックス向けのシングル盤「So Tired / Yama (Blue Note 45-1795)」として発売されている模様。

 


4曲目、リー・モーガンLee Morgan)作曲による幻想的な雰囲気の「Yama」は、モーガンの当時の夫人の旧姓「山本」からタイトル名を拝借した曲のようです。


余裕たっぷりにソロを吹くリー・モーガン、憎らしいほど決まっています。

 

5曲目、アート・ブレイキーのドラム・ソロから軽やかなウォーキング・ベースを経て始まるリー・モーガン作曲の「Kozo's Waltz(小僧のワルツ)」は、3拍子で書かれた曲。このタイトルも、日本がらみか(笑)。

 


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ウェイン・ショーターのシリアスさの中に若干のユーモアを混ぜたテナーサックス・ソロの後、リー・モーガンのはちきれんばかりの音色の、さりげに技巧の限りを駆使したトランペット・ソロが続きます。

 

ボビー・テイモンズの軽快のピアノ・ソロの後、御大アート・ブレイキーが登場。

ハイ・ハット(足踏みペダル付きシンバル)を軸にスネアとタム類だけを駆使する、自ら「サンダー・ボルト」と命名したドラム・ソロの要であるシンバルを使わないという、珍しい構成のドラム・ソロを聴かせてくれます。

 

ちなみにこの曲は「Zambia」と改題され、1966年録音「Lee Morgan - Delightfulee(Blue Note BST-84243)」でも演奏されております。

 

CD版「A Night In Tunisia (Blue Note BST-84049)」の6曲目以降は、ボーナス・トラックです。

 

アート・ブレイキーの軽快なドラムから始まる6曲目「When Your Lover Has Gone」は、テーマの途中でリズム隊が演奏を止める場面があるなど、やや複雑な構成を持った曲です。

ウェイン・ショーターのやや抑制気味なテナーサックス・ソロに続き、リー・モーガンのやんちゃ気味なトランペット・ソロ、ボビー・テイモンズの軽快なピアノ・ソロを挟み、あっさりとテーマに戻ります。

 

7曲目「Sincerely Diana (alternate take)」は、「本テイク(take 11)」の後に録音された「別テイク(take 15)」ですが、本テイクより若干長めなだけで、甲乙つけがたい演奏であります。

 


なお、このセッションには多数の未発表曲ありましたが、後年「Like Someone In Love(Blue Note BST-84245)」というタイトルで発売されました。

 

 

 

「Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia (Blue Note) 1960」決定版・チュニジアの夜

Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia +2 (RVG)
Blue Note BST-84049 / Blue Note 7243 8 64474 2 5 [2005]


side 1 (A)
01. A Night In Tunisia (D. Gillespie, F. Paparelli)  11:13
02. Sincerely Diana (Wayne Shorter)  6:48

side 2 (B)
03. So Tired (Bobby Timmons)  6:37
04. Yama (Lee Morgan)  6:22
05. Kozo's Waltz (Lee Morgan)  6:46

Bonus Tracks
06. When Your Lover Has Gone (Einer A. Swan)  6:44
07. Sincerely Diana (alternate take) (Wayne Shorter)  6:58


#02,04,06,07 August 7, 1960 at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
#01,03,05 August 14, 1960 at the Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

Lee Morgan (tp) Wayne Shorter (tp) Bobby Timmons (p) Jymie Merritt (b) Art Blakey (ds) 

 

 

<1960>
March 6, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
●Art Blakey and The Jazz Messengers - The Big Beat (Blue Note BST-84029)

 

April 28, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
Lee Morgan - Leeway (Blue Note BST-84034)

 

August 7, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
●Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia (Blue Note BST-84049)
●Art Blakey and The Jazz Messengers - Like Someone In Love (Blue Note BST-84245)

 

August 12 and 17, 1960 at Plaza Sound Studios, NYC.
Bobby Timmons - Soul Time (Riverside RLP-9334)

Soul Time

Soul Time

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August 14, 1960 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
●Art Blakey and The Jazz Messengers - A Night In Tunisia (Blue Note BST-84049)
●Art Blakey and The Jazz Messengers - Like Someone In Love (Blue Note BST-84245)

Like Someone in Love

Like Someone in Love

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September 14, 1960 at Birdland, NYC.
●Art Blakey and The Jazz Messengers - Meet You At The Jazz Corner Of The World Vol. 1 (Blue Note BST-84054)

●Art Blakey and The Jazz Messengers - Meet You At The Jazz Corner Of The World Vol. 2 (Blue Note BST-84055)

 

October 11, 1960 at Universal Recording, Chicago, IL.
Wayne Shorter - Second Genesis (Vee-Jay VJS-3057)

Second Genesis -Hq- [Analog]

Second Genesis -Hq- [Analog]

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October 14, 1960 at Universal Recording, Chicago, IL.
Lee Morgan - Expoobident (Vee-Jay VJLP-3015)

 

<1961>
January 2, 1961 at Sankei Hall, Tokyo, Japan.
●Art Blakey and The Jazz Messengers - A Day With Art Blakey 1961 (Baybridge 30CP-23/24)

 

January 11, 1961 at TBS TV Studios, Tokyo, Japan.
●Art Blakey and The Jazz Messengers - Tokyo 1961 (somethin'else RJ28-5503)