天才トランペッター、チェット・ベイカー(Chet Baker)が、ラス・フリーマン(Russ Freeman)のトリオをバックに、かなりハードな演奏を繰り広げる1956年11月06日録音のセッションのみを収録したアルバムが、「Chet Baker - Quartet: Russ Freeman Chet Baker (World Pacific PJ-1232)」です。
西海岸らしいカラっとした空気の中、やたらリアルなトランペットの音が全編で響き渡っております。
1956年という年は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)クインテットがプレステッジ(Prestige Records)との録音契約を履行するために2回に分けて有名なマラソン・セッションを敢行した年であり。
神童と呼ばれたリー・モーガン(Lee Morgan)が、18歳で初リーダー録音をブルーノート(Blue Note Records)に残した年でもありますね。
今までになく各楽器の音がクリアに録音されている事から1956年頃は、録音技術と機材が急激に発達した時期と重なるのかもしれません。
「Chet Baker - Quartet: Russ Freeman Chet Baker (World Pacific PJ-1232)」の1曲目「Love Nest」は、マイルスを意識したのか珍しくミュート・トランペットでハードに演奏するチェット・ベイカー(Chet Baker)をお楽しみいただけます。
こうして改めて聴いてみると、チェット・ベイカー(Chet Baker)がマイルスに劣らず、かなりのテクニシャンである事が分かります。
6曲目「Lush Life」は、やや辛口ながら美しいチェット・ベイカー(Chet Baker)のバラッド演奏をお楽しみいただけます。
アルバムの最後を飾る8曲目「Hugo Hurwhey」は、若さゆえ勢い余った風にも感じられるチェット・ベイカー(Chet Baker)の全力で演奏する様子が捉えられております。
チェット・ベイカー(Chet Baker)のトランペットもさることながら、ラス・フリーマン(Russ Freeman)を中心としたトリオのピアノ、ベース、ドラムスの音の生々しさが印象に残る1曲です。
Chet Baker - Quartet: Russ Freeman Chet Baker
World Pacific PJ-1232 / 東芝EMI TOCJ-9531 [2001.10.24]
side 1 (A)
01. Love Nest (Hirsch, Harbach) 4:20
02. Fan Tan (Russ Freeman) 5:42
03. Summer Sketch (Russ Freeman) 4:38
04. An Afternoon At Home (Russ Freeman) 5:13
side 2 (B)
05. Say When (Russ Freeman) 5:03
06. Lush Life (Billy Strayhorn) 5:56
07. Amblin (Russ Freeman) 7:13
08. Hugo Hurwhey (Russ Freeman) 4:26
Chet Baker (tp) Russ Freeman (p) Leroy Vinnegar (b) Shelly Manne (ds)
November 6, 1956 in Los Angeles, CA.