チェット・ベイカー(Chet Baker)が二度目の来日の際、東京・昭和女子大学「人見記念講堂」で収録されたライブの第2弾が「Chet Baker In Tokyo (Paddle Wheel K28P-6495)」です。
1枚目の「Memories - Chet Baker In Tokyo (Paddle Wheel K28P-6491)」が、代表曲「My Funny Valentine」を含むしっとり目な曲が多かったのに対し、このアルバムはマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の「Four」、「Seven Steps To Heaven」などアップテンポ気味な曲の方が印象に残ります。
最晩年のマイルス・デイヴィス(Miles Davis)が、バラッドやハッタリを効かせた演奏は出来たものの、ビ・バップ~ハード・バップ時代の演奏をすると途端におぼつかない演奏を聴かせていたのに対し、マイルスを敬愛するチェット・ベイカー(Chet Baker)が、謎の転落死直前まで、ビバップ時代のアップテンポで複雑なテーマでも難なく吹いていたのを聴くと、いずれも破天荒な人生を送った二人のトランペッターの生涯は、どちらが幸せだったのだろうか・・・とか答えの出ない思案に突入してしまいそうになります。
ただ言えるのは、ビ・バップ~ハード・バップ時代のマイルスが「過去の演奏だ」と切る捨てたスタイルを演奏をさせたら、最晩年のマイルス・デイヴィス(Miles Davis)よりも、最晩年のチェット・ベイカー(Chet Baker)の方が圧倒的に「吹く事が出来た」という事ですね・・・。
クスリでボロボロになりながらも、真摯に演奏に取り組んでいたのはマイルスではなく、チェットの方だったと再認識してしまうライブ録音であります。
Chet Baker - Four - Chet Baker In Tokyo
Paddle Wheel K28P-6495/K32Y-6281 [1989.01.21]
side 1 (A)
01. Four (Miles Davis) 7:30
02. Arborway (Rique Pantoja) 14:02
03. I'm A Fool To Want You (Frank Sinatra, Jack Wolf, Joel Herron) 11:24
04. Seven Steps To Heaven (Miles Davis) 7:58
side 2 (B)
05. For All We Know (J. Fred Coots, Samuel Lewis) 8:59
06. Broken Wing (Richie Bairack) 10:06
Chet Baker (tp,vo) Harold Danko (p) Hein Van Der Geyn (b) John Engels (ds)
June 14, 1987 at Hitomi-Kinen-Kodo, Tokyo
東京・昭和女子大学「人見記念講堂」