チェット・ベイカー(Chet Baker)というと、日本での評価としては大手レコード会社が大々的に宣伝の上、再発続ける「Pacific Jazz」時代が一番、という評価が固定されていた様で・・・。
謎の転落死であっけなく世を去った1988年まで、新規録音は出るものの、一部マニアがひっそりと購入するという感じだった記憶があります。
今回ご紹介する、1985年10月02日と10月08日の2日間に録音された「Chet Baker - Chet Baker Sings Again (Timeless SJP-238)」も、「Pacific Jazz」時代の重厚なジャケットとはほど遠い、軽めのイラストがあしらわれたアルバムなためか、私は購買する気がおきず、長年、チェット・ベイカー(Chet Baker)の作品として聴く順番は最下位に位置した作品でした。
今回、CDを「Flacファイル」に変換し、パソコンに取り込んだものを聴いておりますが、全曲捨て曲なし。どの曲のヴォーカルもトランペットにも、覇気が感じられるアルバムであります。
この時期に録音されたチェット・ベイカー(Chet Baker)のアルバム録音データを眺めていくと、オランダ(Netherlands)で録音されたものが圧倒的に良い出来だったりします。
その理由を色々と考えていくと、オランダ(Netherlands)はチェット・ベイカー(Chet Baker)のような薬物中毒者に寛容な政策をとっており、他国に居るよりも、リラックスした状態で録音出来る環境が整っているのが、その理由だろうと個人的には思ったりします。
この「Chet Baker - Chet Baker Sings Again (Timeless SJP-238)」の出来の良さは、1曲目の「All of You」を聴いていただけるだけで、ご納得いただけると思います。
高揚気味で張りのあるヴォーカル、「Pacific Jazz」時代に回帰したような溌剌としたトランペット・・・と、一度も聴いた事のない方に、特にお勧め出来る1枚となっております。
2曲目、ミディアムテンポで演奏される「Body and Soul」なんかも、いつものけだるさが払拭されたヴォーカルと演奏がとても良いですね。
Chet Baker - Chet Baker Sings Again
Timeless SJP-238 / Baystate BVCJ-7404 [1997.10.22]
side 1 (A)
01. All of You (Cole Porter) 4:40
02. Body and Soul (Johnny Green, Edward Heyman, Robert Sour, Frank Eyton) 6:31
03. Look For The Silver Lining (Jerome Kern, Buddy DeSylva) 3:52
04. I Can't Get Started (Vernon Duke, Ira Gershwin) 6:54
side 2 (B)
05. My Funny Valentine (Richard Rodgers, Lorenz Hart) 7:15
06. Alone Together (Arthur Schwartz, Howard Dietz) 6:13
07. Someone to Watch Over Me (George Gershwin, Ira Gershwin) 5:20
08. How Deep Is the Ocean? (Irving Berlin) 3:48
Chet Baker (tp,vo) Michel Graillier (p) Ricardo Del Fra (b) John Engels (ds)
October 2 & 8, 1985 at Studio 44, Monster, Netherlands.
「Chet Baker - Chet Baker Sings Again (Timeless SJP-238)」収録曲の一部は、ストリングがオーバーダビングされ、以前紹介したアルバムにも収録されております。