加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Sonny Criss - Up, Up And Away (Prestige)1967」温故知新、時代の流れに身を任せ生まれた名盤

ソニー・クリスSonny Criss)が1967年に録音した「Up, Up And Away (Prestige PRST-7530)」は、ギターのタル・ファーロウTal Farlow)、ピアノのシダー・ウォルトンCedar Walton)、ベースのボブ・クランショウ(Bob Cranshaw)、ドラムスのレニー・マクブラウン(Lenny McBrowne)といった堅実なミュージシャン達をバックに、「Up, Up And Away」などの当時アメリカでヒットしていた曲を目玉にしつつ、「Willow Weep For Me」などのジャズ・スタンダードを端折り目正しく演奏するアルバムです。

 

「Sonny Criss - Up, Up And Away (Prestige)1967」温故知新、時代の流れに身を任せ生まれた名盤


1967年頃と言えばハード・バップ・ジャズが日陰に追いやられ、大衆受けのするファンキー・ジャズやソウル・ジャズが隆盛を極めてたり、アフリカン・アメリカン達の魂の叫びを代弁するような過激なフリー・ジャズが毒をまき散らしていた時期だと思われます。

 

一聴して分かる通り、チャーリー・パーカーCharlie Parker)派の端正なるハード・バップ・サックス奏者であるソニー・クリスSonny Criss)が活動するには分が悪い時代であったと思いますが。

ピアノ・トリオにタル・ファーロウTal Farlow)のギターを加え、ポップス寄りの曲も無難に演奏出来る編成にて、ジャンルの垣根を越えた軽快な演奏を繰り広げております。

 


1曲目「Up, Up And Away(邦題、ビートでジャンプ)」は、ジミー・ウェブ(Jimmy Webb)の作曲。フィフス・ディメンション(The Fifth Dimension)が、1967年にビルボードBillboard)チャートの7位を獲得した大ヒット曲です。

 


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アルバム・ジャケットのイメージの如く、軽快なボサノヴァ風ビートにのり、歌心溢れるソニー・クリスのアルトサックスが楽しく舞い踊っているような演奏を繰り広げます。

 


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2曲目の「Willow Weep For Me」は、アン・ロンネル(Ann Ronnell)作曲のスタンダード・ナンバー。ミディアム・テンポでしっとりとした雰囲気の中、ソニー・クリスがバップ奏者の得意技の一つである16部音符フレーズを混ぜながら、艶やかな音色で演奏しております。


3曲目の「This Is For Benny」はホレス・タプスコット(Horace Tapscott)の作曲。テーマ部でギターのタル・ファーロウが、ユニゾンやオクターブでさりげなく絡んだ後、ソニー・クリスの勢いあるソロが続きます。


4曲目「Sunny」ボビー・ヘブBobby Hebb)の作曲で1966年にシングル発売され、R&Bチャートで3位、ポップス・チャートで2位を獲得した大ヒット曲。

 


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そういえば、ジャズ系のミュージシャンもよく演奏している曲ですね。

 


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この曲もボサノヴァ風ビートで演奏されますが、哀愁漂う曲調なためか、ソロでのソニー・クリスの奏でるフレーズが際立って聴こえてきます。

 


5曲目「Scrapple From The Apple」は、お馴染みチャーリー・パーカーCharlie Parker)作曲のビバップスタイルの定番曲。

温故知新というか、1967年という時代に1940年代の名曲をあえて演奏してしまうところに、ソニー・クリスの気概とか意地という部分が垣間見れたりします。


6曲目「Paris Blues」は、ソニー・クリスSonny Criss)の自作曲。

 


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1960年代初頭であれば、こういうブルースをアルバム冒頭に持ってくるだろうと思いますが、最後に配置されている事でも、1967年がハードバップ系ミュージシャンにとっては、まだまだ受難の時代であった事を容易に想像する事が出来ます。


ソニー・クリスSonny Criss)という、時代遅れになりかけたハードバップという演奏スタイルを頑なに守るミュージシャンが、時代の流れに逆らわず、自身は自然体で演奏してみたら名盤が生まれた・・・というのが、この1967年に録音した「Up, Up And Away (Prestige PRST-7530)」なんだと思います。

 

Sonny Criss - Up, Up And Away 
Prestige PRST-7530 / Victor Entertainment VICJ-41554 [2006.06.21]

side 1 (A)
01. Up, Up And Away (Jimmy Webb)  5:33
02. Willow Weep For Me (Ann Ronnell)  5:14
03. This Is For Benny (Horace Tapscott)  6:22

side 2 (B)
04. Sunny (Bobby Hebb)  5:56
05. Scrapple From The Apple (Charlie Parker)  6:47
06. Paris Blues (Sonny Criss)  7:29


Sonny Criss (as) Cedar Walton (p) Tal Farlow (g) Bob Cranshaw (b) 
Lenny McBrowne (ds) 

August 18, 1967 in NYC.

Producer – Don Schlitten

 

 

●1966
Sonny Criss - This Is Criss! (Prestige PR 7511)

 

ジス・イズ・クリス!+1

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●1967 (age 40)
Portrait Of Sonny Criss (Prestige PRST 7526)

 

ポートレイト・オブ・ソニー・クリス

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Sonny Criss - Up, Up And Away (Prestige PRST 7530)

 

●1968
Sonny Criss - The Beat Goes On! (Prestige PRST 7558)

 

ザ・ビート・ゴーズ・オン!

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The Sonny Criss Orchestra - Sonny's Dream (Birth Of The New Cool) (Prestige PRST 7576)

Sonny Criss - Rockin' In Rhythm  (Prestige PRST 7610)

 

●1969
Sonny Criss - I'll Catch The Sun! (Prestige PRST 7628)

 

I'll Catch the Sun !

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