加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Jackie McLean - New Soil (Blue Note) 1959」次の時代を見据えた新しいサウンドの萌芽

1950年代初頭よりチャーリー・パーカー直系のアルトサックス奏者として、演奏活動をスタートしたジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)。

 

マイルス・デイヴィスMiles Davis)、アート・ブレイキー(Art Blakey)、チャールス・ミンガス(Charles Mingus)らと共演を重ねる事で独特の個性を磨きます。

 

1955年頃よりプレスティッジ(Prestige Records)と契約しリーダーアルバムを録音した後、1959年にブルーノート(Blue Note Records)と契約。

 

「Jackie McLean - New Soil (Blue Note) 1959」次の時代を見据えた新しいサウンドの萌芽

という事で、ブルーノートでの第1弾として発売されたのが、このアルバム「New Soil (Blue Note BST-84013)」です。

 

ちなみに、1959年はハード・バップと呼ばれる演奏スタイルの円熟期ではないかと思います。

同時期に、モード・ジャズという新しいスタイルでマイルス・デイヴィスMiles Davis)が「Kind Of Blue (Columbia CS-8163)」を録音したり、フリー・ジャズの開祖、オーネット・コールマンOrnette Coleman)がニューヨークでの演奏活動をスタートするなど、ジャズの演奏スタイルが多様化していく時期にあたります。

 

 

という事で「New Soil (BST-84013)」は、従来のハード・バップに根差した演奏ではあるものの、次の時代を見据えた新しいサウンドの萌芽のようなものが感じさせる、今聴いても古臭く感じない不思議なアルバムであったりします。

 

 

さて、アルバム「New Soil (Blue Note BST-84013)」ですが、レコード時代のA面に相当する部分は、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)の作曲です。

 

1曲目「Hip Strut」は、ソウルフルかつファンキーな要素と、ハード・バップな演奏が
上手く混ざり合った新鮮なサウンドを聴くことが出来ます。

 


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ジャッキー・マクリーンのアルトサックスの音色が、分厚く濁りを帯びているようにも感じられますし、ハード・バップ時代の名残を感じつつ、ファンキー・ジャズ風味の演奏を聴かせ始めたドナルド・バードDonald Byrd)のソロも良いですね。

 

2曲目「Minor Apprehension」は、哀愁を帯びた急速調の曲。

 


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チャーリー・パーカー直系であるジャッキー・マクリーンの本領発揮といった感じでしょうか。ドナルド・バードも、流暢なハード・バップ・フレーズで演奏に華を添えます。

 


レコード時代のB面に相当する部分はウォルター・デイヴィスJr.(Walter Davis Jr.)の作曲。後半の演奏が前半に比べ妙に明るく思えるのは、ウォルター・デイヴィスJr.の作った曲調の影響が大きいのでしょうね。

 

3曲目「Greasy」は、聴いているとうきうきしてくるような、軽快な曲。

4曲目「Sweet Cakes」は、明るいハード・バップといった風味の曲。

 

5曲目「Davis Cup」は、アップテンポのハード・バップ・ナンバー。

 


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なお、1988年頃に発売されたCDにはボーナストラックとして、ウォルター・デイヴィスJr.作曲の「Formidable」が収録されております。

今、検索したら2010年に発売されたSACDハイブリッド盤「New Soil (Analogue Productions CBNJ 84013 SA)」にも収録されているようですね。

 

 


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良曲ではあるのですが、他の曲と比べると若干大人しい感じの曲調なので、オリジナル・アルバムに収録されなかったのだと推測します。

 

 

Jackie McLean - New Soil (RVG)
Blue Note BST-84013 / 東芝EMI TOCJ-9169 [1999.12.21]

side 1 (A)
01. Hip Strut (Jackie McLean) 11:20
02. Minor Apprehension (Jackie McLean) 7:34

side 2 (B)
03. Greasy (Walter Davis Jr.) 7:25
04. Sweet Cakes (Walter Davis Jr.) 6:46
05. Davis Cup (Walter Davis Jr.) 5:26

 

☆1988 issued CD Bonus Track
06. Formidable (Walter Davis Jr.) 6:16


Donald Byrd (tp) Jackie McLean (as) 
Walter Davis Jr. (p) Paul Chambers (b) Pete LaRoca (ds)
May 2, 1959 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.  

 

ニュー・ソイル

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ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)の参加作品を少しだけ。

 

ディグ+2

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1951年10月、マイルス・デイヴィスMiles Davis)のアルバム「Dig (Prestige PRLP-7012)」へ参加

 

1956年01月、チャールズ・ミンガスCharlie Mingus)の意欲的なアルバム「直立猿人 Pithecanthropus Erectus (Atlantic LP-1237)」に参加。

 

1958年01月、ソニー・クラークSonny Clark)のアルバム「Cool Struttin' (Blue Note BST-81588)」に参加。

 

ジャッキー・マクリーンは以降、ブルーノート(Blue Note Records)のオーナー、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)の意向に沿い、新人の発掘育成に力を入れるのですが。

 

ジャズ界最大の収穫とも言えるのが、1963年にボストンで発見したドラムの神童、アンソニー(トニー)・ウィリアムス(Anthony Williams)を、ブルーノートに紹介した事でしょうね。

 

 

また、1967年03月には「New And Old Gospel (Blue Note BST-84262)」でフリー・ジャズの開祖オーネット・コールマンOrnette Coleman)と共演を果たすなど、常に時代に呼応した新しいサウンドを追及していったのが、ジャッキー・マクリーンブルーノート時代の動きであります。

 

 

こんな感じでブルーノート時代のジャッキー・マクリーンは、フリージャズにまで手を広げたジョン・コルトレーンJohn Coltrane)が急死した事により、ジャズ界が混沌とするまで、常に最先端の尖がった演奏を繰り広げている印象があります。