加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Kenny Dorham & Jackie McLean - Inta Somethin' (Pacific Jazz) 1962」双頭バンドの熱いライブ

ケニー・ドーハムKenny Dorham)とジャッキー・マクリーンJackie McLean)を双頭リーダーとするアルバム「Inta Somethin' (Pacific Jazz PJ-41)」は1961年11月13日、サンフランシスコの「The Jazz Workshop」におけるライブ録音です。

 

「Kenny Dorham & Jackie McLean - Inta Somethin' (Pacific Jazz) 1962」双頭バンドの熱いライブ

 

バックのピアノトリオは、ピアノがウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)、ベースがレロイ・ヴィネガー(Leroy Vinnegar)、ドラムスがアート・テイラーArt Taylor)という渋めのメンバー。

 

 

1曲目「Us」は、ケニー・ドーハムKenny Dorham)の自作曲であり、1963年04月01日録音のアルバム「Kenny Dorham - Una Mas (Blue Note BST-84127)」には「Una Mas」と改題され、収録されておりますね。

 


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徐々に音を歪ませたお得意のブローを聴かせるケニー・ドーハムKenny Dorham)、濁った特徴ある音色でチャーリー・パーカーCharlie Parker)直系のビバップ・フレーズから始め、独自のダークなブローを聴かせるジャッキー・マクリーンJackie McLean)、端正なフレーズからいきなり高速フレーズを繰り出すなど緩急つけたソロを聴かせてウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)と各人の魅力的なソロが続きます。

 

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2曲目「It Could Happen To You」は、ケニー・ドーハムKenny Dorham)のワンホーンカルテットによる演奏。

ケニー・ドーハムKenny Dorham)は時々、音を歪ませたフレーズ混ぜつつも軽快なソロを聴かせてくれます。


3曲目「Let's Face The Music」は、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)のワンホーンカルテットによる演奏。

この曲は、1959年10月20日録音のアルバム「Jackie McLean - Swing, Swang, Swingin' (Blue Note BST-84024)」でも演奏されておりますが、ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)とアート・テイラーArt Taylor)は、その時の録音メンバーでもありますね。

 

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ブルーノート盤同様、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)はアップテンポで快調なソロを聴かせてくれます。

 

 

 

4曲目「No Two People」は、(私にとっては)あまり馴染のない曲でありますが、再びクインテット編成に戻り、ミディアム・テンポでの演奏となります。

ジャッキー・マクリーンJackie McLean)、ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)ともファンキーなソロを聴かせてくれます。

 

演奏の流れで推測すると、最初にケニー・ドーハムKenny Dorham)がソロを取っている部分がカットされている様ですが、収録時間の都合か何かあったんでしょうね。

 


5曲目「Lover Man」は、バラッド風味ではありますが、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)の野太いアルトの音色がぴったりの演奏となっております。

 


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クスリで意識朦朧としたチャーリー・パーカーCharlie Parker)が録音した伝説の「Dial Records」バージョンもありますが、ここでのジャッキー・マクリーンJackie McLean)はビバップ・フレーズ交えつつ、特徴的な濁った音色で独自のフレーズで演奏を盛り上げていきます。

 


6曲目「San Francisco Beat」は、ケニー・ドーハムKenny Dorham)の自作のブルースで、ちょっとハッタリの効いたテーマ部から、大人し目のソロに移行する時の落差が中々味わい深いですね(笑)。


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続くジャッキー・マクリーンJackie McLean)は、やや斬新な解釈のブルース・フレーズを聴かせてくれますし、ケニー・ドーハムKenny Dorham)は、ジャッキーのソロの途中で合いの手(バッキング)を入れてきます。

 

ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)のピアノ・ソロも、ブルージーというよりファンキー風味のソロですね。

 

 

時期的には、ジャズ界にファンキー・ブームが巻き起こる辺りで録音された、ケニー・ドーハムKenny Dorham)とジャッキー・マクリーンJackie McLean)という珍しい組み合わせのライブではありますが、ハード・バップの香りを残しつつ、新たなる方向性を模索する二人のコンビネーションは、それほど悪くはないかと思います。

 

 

Kenny Dorham & Jackie McLean - Inta Somethin'
Pacific Jazz PJ-41 / 東芝EMI TOCJ-9338 [2001.10.24] Super Bit Jazz Classics


side 1 (A)
01. Us (Kenny Dorham)  7:13
02. It Could Happen To You (Burke-Van Heusen)  6:00
03. Let's Face The Music And Dance (Irving Berlin)  6:06

side 2 (B)
04. No Two People (Frank Loesser)  6:59
05. Lover Man (Davis, Sherman, Ramirez)  5:01
06. San Francisco Beat (Kenny Dorham)  7:12


Kenny Dorham (tp #1,2,4,6) Jackie McLean (as #1,3-6) Walter Bishop Jr. (p) 
Leroy Vinnegar (b) Art Taylor (ds) 

November 13, 1961 at The Jazz Workshop, San Francisco, CA. 

 

インタ・サムシン

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