ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)とジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)を双頭リーダーとするアルバム「Inta Somethin' (Pacific Jazz PJ-41)」は1961年11月13日、サンフランシスコの「The Jazz Workshop」におけるライブ録音です。
バックのピアノトリオは、ピアノがウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)、ベースがレロイ・ヴィネガー(Leroy Vinnegar)、ドラムスがアート・テイラー(Art Taylor)という渋めのメンバー。
1曲目「Us」は、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)の自作曲であり、1963年04月01日録音のアルバム「Kenny Dorham - Una Mas (Blue Note BST-84127)」には「Una Mas」と改題され、収録されておりますね。
徐々に音を歪ませたお得意のブローを聴かせるケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、濁った特徴ある音色でチャーリー・パーカー(Charlie Parker)直系のビバップ・フレーズから始め、独自のダークなブローを聴かせるジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)、端正なフレーズからいきなり高速フレーズを繰り出すなど緩急つけたソロを聴かせてウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)と各人の魅力的なソロが続きます。
2曲目「It Could Happen To You」は、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)のワンホーンカルテットによる演奏。
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は時々、音を歪ませたフレーズ混ぜつつも軽快なソロを聴かせてくれます。
3曲目「Let's Face The Music」は、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)のワンホーンカルテットによる演奏。
この曲は、1959年10月20日録音のアルバム「Jackie McLean - Swing, Swang, Swingin' (Blue Note BST-84024)」でも演奏されておりますが、ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)とアート・テイラー(Art Taylor)は、その時の録音メンバーでもありますね。
ブルーノート盤同様、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)はアップテンポで快調なソロを聴かせてくれます。
4曲目「No Two People」は、(私にとっては)あまり馴染のない曲でありますが、再びクインテット編成に戻り、ミディアム・テンポでの演奏となります。
ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)、ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)ともファンキーなソロを聴かせてくれます。
演奏の流れで推測すると、最初にケニー・ドーハム(Kenny Dorham)がソロを取っている部分がカットされている様ですが、収録時間の都合か何かあったんでしょうね。
5曲目「Lover Man」は、バラッド風味ではありますが、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)の野太いアルトの音色がぴったりの演奏となっております。
クスリで意識朦朧としたチャーリー・パーカー(Charlie Parker)が録音した伝説の「Dial Records」バージョンもありますが、ここでのジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)はビバップ・フレーズ交えつつ、特徴的な濁った音色で独自のフレーズで演奏を盛り上げていきます。
6曲目「San Francisco Beat」は、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)の自作のブルースで、ちょっとハッタリの効いたテーマ部から、大人し目のソロに移行する時の落差が中々味わい深いですね(笑)。
続くジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、やや斬新な解釈のブルース・フレーズを聴かせてくれますし、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、ジャッキーのソロの途中で合いの手(バッキング)を入れてきます。
ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)のピアノ・ソロも、ブルージーというよりファンキー風味のソロですね。
時期的には、ジャズ界にファンキー・ブームが巻き起こる辺りで録音された、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)とジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)という珍しい組み合わせのライブではありますが、ハード・バップの香りを残しつつ、新たなる方向性を模索する二人のコンビネーションは、それほど悪くはないかと思います。
Kenny Dorham & Jackie McLean - Inta Somethin'
Pacific Jazz PJ-41 / 東芝EMI TOCJ-9338 [2001.10.24] Super Bit Jazz Classics
side 1 (A)
01. Us (Kenny Dorham) 7:13
02. It Could Happen To You (Burke-Van Heusen) 6:00
03. Let's Face The Music And Dance (Irving Berlin) 6:06
side 2 (B)
04. No Two People (Frank Loesser) 6:59
05. Lover Man (Davis, Sherman, Ramirez) 5:01
06. San Francisco Beat (Kenny Dorham) 7:12
Kenny Dorham (tp #1,2,4,6) Jackie McLean (as #1,3-6) Walter Bishop Jr. (p)
Leroy Vinnegar (b) Art Taylor (ds)
November 13, 1961 at The Jazz Workshop, San Francisco, CA.