21歳の年、1945年05月に「Mercer Ellington And His Orchestra」で公式録音を残したケニー・ドーハム(Kenny Dorham)。
1946年には「Billy Eckstine Orchestra」、「Dizzy Gillespie Orchestra」に参加。
1947年には「Lionel Hampton Orchestra」と「Art Blakey's Messengers」で録音に参加。
1948年末から1949年にはマイルス・デイヴィス(Miles Davis)の後釜として、チャーリー・パーカー(Charlie Parker)のバンドに参加。
そんな感じで有名バンドを渡り歩いた後、ようやく1953年12月15日に初リーダーアルバム「Kenny Dorham Quintet (Debut DLP-9)」を録音する事となります。
トランペットのケニー・ドーハム(Kenny Dorham)以外のメンバーは、テナー・サックスとバリトン・サックスを持ち替えで演奏するジミー・ヒース(Jimmy Heath)、ピアノのウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)、ベースのパーシー・ヒース(Percy Heath)、ドラムスのケニー・クラーク(Kenny Clarke)という実力派揃い。
1曲目「An Oscar For Oscar (take 1)」は、このアルバム唯一のケニー・ドーハム(Kenny Dorham)が書いたビバップの香りが濃厚な1曲。
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、ジミー・ヒース(Jimmy Heath)、ウォルター・ビショップ Jr(Walter Bishop Jr.)と、これぞビ・バップ!といった風情のソロが続きます。
2曲目「Ruby, My Dear (take 2)」と4曲目「Ruby, My Dear (take 1)」は、セロニアス・モンク(Thelonious Monk)が書いた名バラッド。テーマ部でジミー・ヒース(Jimmy Heath)の吹くバリトン・サックスが中々いい雰囲気を醸し出しております。
こういうバラッドを吹くケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は絶品ですね。
3曲目「Be My Love (take 2)」は、ポピュラー・ソングであるこの曲を軽快なスイングで聴かせてくれます。
5曲目「Osmosis」は、何やら映画のサスペンス・シーンに使われそうな雰囲気の緊迫感漂う1曲。
前のめり気味にソロを紡ぐケニー・ドーハム(Kenny Dorham)、ハードボイルドなソロを聴かせるジミー・ヒース(Jimmy Heath)と最後まで緊張感を持続される演奏が続きます。
6曲目「I Love You」、9曲目「I Love You (take 2)」は、コール・ポーター(Cole Porter)の作品であり、ちょっとアフロ・キューバン風味をまぶしたテーマ部の解釈が面白い演奏です。
のびのびとブローするケニー・ドーハム(Kenny Dorham)が素晴らしいですね。
7曲目「Darn That Dream (take 1)」、8曲目「Darn That Dream (take 2)」は、ジャズ・スタンダードの中でもよく演奏されるうちの1曲ではないかと。
ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)は、バラッドを吹く時のお手本の様な流暢なソロを聴かせてくれます。
10、11曲目は、1953年10月21日に録音された演奏でありますが、いずれもケニー・ドーハム(Kenny Dorham)がヴォーカルを披露する、(ある意味)何とも味わい深い演奏であります(笑)。
10曲目「Chicago Blues」は、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)が何とも味わい深いヴォーカルを披露した後、ジミー・ヒース(Jimmy Heath)、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)とソロが続きますが、ヴォーカルとの落差が何ともはや・・・(笑)。
11曲目「Lonesome Lover Blues」は、ダウン・トゥ・アースな如何にもブルースらしい演奏です。
各人のソロは中々の出来であったりするので、ここにケニー・ドーハム(Kenny Dorham)の何とも場違いなヴォーカルが入っていなければ、実に味わい深い1曲となっていたと思います(笑)。
・・・このヴォーカル入りの演奏を聴く事で、後に録音されたケニー・ドーハム(Kenny Dorham)の全曲ヴォーカル入りのアルバムが日本ではCD再発されることなく「珍盤奇盤」扱いされるのかが、よーくご理解いただけるかと思います(笑)。
出来る事なら、ケニー・ドーハム(Kenny Dorham)のヴォーカルだけは、封印して欲しかったですね(笑)。
・・・まあね、私も僭越ながらトランペット吹いて、たまにヴォーカルやったりするので、「お前はどうなんだ」とか言われると、口を閉ざすしかなかったりしますけど。
Kenny Dorham Quintet
Debut DLP-9 / Fantasy OJC-113 / OJCD-113-2 [1993]
side 1 (A)
01. An Oscar For Oscar (take 1) (Kenny Dorham) 2:46
02. Ruby, My Dear (take 2) (Thelonious Monk) 3:02
03. Be My Love (take 2) (Brodszky-Cahn) 3:32
04. Ruby, My Dear (take 1) (Thelonious Monk) 3:04
side 2 (B)
05. Osmosis (Osie Johnson) 2:40
06. I Love You (Cole Porter) 3:51
07. Darn That Dream (take 1) (DeLange-Van Heusen) 4:47
08. Darn That Dream (take 2) (DeLange-Van Heusen) 4:51
CD Bonus Tracks
09. I Love You (take 2) (Cole Porter) 3:53
10. Chicago Blues (Biese-Altieri) 2:50
11. Lonesome Lover Blues (Lenoir-Jackson) 3:05
#01-09 December 15, 1953 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Kenny Dorham (tp) Jimmy Heath (ts,bs) Walter Bishop Jr. (p) Percy Heath (b)
Kenny Clarke (ds)
#10,11 October 21, 1953 in NYC.
Kenny Dorham (tp,vo) Jimmy Heath (ts) Walter Bishop Jr. (p) Percy Heath (b)
Kenny Clarke (ds)