加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Jackie Mclean - 4,5 and 6 (Prestige) 1956」名盤には届かないものの、良盤

ジャッキー・マクリーンJackie McLean)の、1956年07月に行われた2回のセッションをまとめたアルバムが「4,5 and 6 (Prestige PRLP-7048)」です。

 

「Jackie Mclean - 4,5 and 6 (Prestige) 1956」名盤には届かないものの、良盤


07月13日のセッションではドナルド・バードDonald Byrd)とのクインテット、07月20日のセッションではドナルド・バードハンク・モブレーHank Mobley)含むセクステットで録音されております。

 

タイトル通り、曲毎に参加人数が「4,5 and 6」、つまりカルテット(4)で3曲、クインテット(5)で2曲、セクステット(6)で1曲という感じで、演奏により参加人数が増減する構成。

 

アルトサックスのジャッキー・マクリーンJackie McLean)の他、トランペットのドナルド・バードDonald Byrd)、テナーサックスのハンク・モブレーHank Mobley)、
ピアノのマル・ウォルドロンMal Waldron)、ベースのダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ドラムスのアート・テイラー(Arthur Taylor)が演奏に参加しております。

 

 

1曲目「Sentimental Journey」は(4)、ワン・ホーン・カルテットによる演奏。

 


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「感傷旅行(Sentimental Journey)」はレス・ブラウン楽団の専属歌手ドリス・デイ(Doris Day)が歌い、1945年に発売されミリオンセラーとなった曲。

 

なお日本のアルドル、松本伊代さんの「センチメンタル・ジャーニー」は、湯川れい子(作詞)・筒美京平(作曲)コンビによる作品なので別物です(笑)。

 

 

ブルージーな曲調ではありますが、ジャッキー・マクリーンJackie McLean)はチャーリー・パーカーCharlie Parker)派特有のビバップ・プレーズを織り交ぜながら、軽快なソロを奏でております。
その後、ベースのダグ・ワトキンス(Doug Watkins)、ピアノのマル・ウォルドロンMal Waldron)と軽快なるソロは続く、約10分という長めの演奏となっております。


2曲目「Why Was I Born?」も(4)、ワン・ホーン・カルテットによる演奏。

 

ミディアム・テンポのこれまた軽快なバッキングにのり、ジャッキー・マクリーンマル・ウォルドロン、再びジャッキー・マクリーンという具合にソロが続きます。

ブルーノート時代の様な演奏の凄みとかキレは感じられませんが、巷で「マクリーン節」と呼ばれる独特なソロ・フレーズはお楽しみいただけます。

 


3曲目「Contour」はピアニスト、ケニー・ドリュー (Kenny Drew)の作品。 ここでようやくドナルド・バードDonald Byrd)が加わる(5)、つまりクインテット編成による演奏となります。

 

しかし、テナーサックスのハンク・モブレーHank Mobley)の書く魅力的なテーマ・フレーズは良いですね。ジャッキー・マクリーンドナルド・バードケニー・ドリューとツボを押さえた手堅いソロが続きます。

 

レコード時代だと、ここからB面。

 

4曲目「Confirmation」はお馴染み、チャーリー・パーカー (Charlie Parker) が書いた定番曲で(6)、11分にも及ぶセクステット編成による演奏です。

 


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師匠格のチャーリー・パーカーが書いた曲という事で、ジャッキー・マクリーンはお得意のビバップ・フレーズを連発。

続くドナルド・バードは、クリフォード・ブラウンClifford Brown)直系の温かくもキレのあるソロ・フレーズを聴かせてくれます。

ソロ3番目にテナーサックスのハンク・モブレーHank Mobley)が登場。マイルドな音色で、熱い演奏を繰り広げております。

 

ケニー・ドリューのソロの後、フロント3人による熱を帯びたソロ交換となります。

 


5曲目「When I Fall In Love」は(4)、ワン・ホーン・カルテットによる演奏。

 

バラッドで演奏される事が多い曲を、軽快なミディアム・テンポで演奏しております。

 


6曲目「Abstraction」は、 マル・ウォルドロンMal Waldron)の作品で(5)、つまりクインテット編成によるバラッド。

 


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ジャッキー・マクリーンの感情抑えたソロも良いですが、バラッドも特異なドナルド・バードのミュート・ソロや、さりげないオブリガードは流石ですね。

 

 

という事で。

 

「4,5 and 6 (Prestige PRLP-7048)」はドナルド・バードハンク・モブレーというフロント陣による好演はあるものの、ピアノのマル・ウォルドロンの演奏が若干インパクト足りない面もあり、「名盤」と言い切れないのあるのですが、「良盤」である事は間違いないですね。

 

Jackie Mclean - 4,5 and 6
Prestige PRLP-7048 / OJCCD-056-2 / Victor Entertainment VICJ-41546 [2006.06.21]


side 1 (A)
01. Sentimental Journey (Homer, Green, Brown)  9:52
02. Why Was I Born? (Kern-Hammerstein)  5:10
03. Contour (Kenny Drew)  4:56

side 2 (B)
04. Confirmation (Charlie Parker)  11:18
05. When I Fall In Love (Heyman, Young)  5:29
06. Abstraction (Mal Waldron)  7:56


#01-03  July 13, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
Donald Byrd (tp #3) Jackie McLean (as) Mal Waldron (p) Doug Watkins (b)

Arthur Taylor (ds) 


#04-06  July 20, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

Donald Byrd (tp #4,6) Jackie McLean (as) Hank Mobley (ts #4) Mal Waldron (p)

Doug Watkins (b) Arthur Taylor (ds) 

 

4,5&6

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そう言えば、山梨県の山中湖畔で行われた「マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル」でも、渡辺貞夫ジャッキー・マクリーンという顔ぶれで、アルト・サックス・バトルで「Confirmation (Charlie Parker)」が演奏されましたね。

 


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うちにも「NHK-FM」が放送したエアチェック・テープがあるのですが、海外の放送局がやってるように、アーカイブ音源をシリーズで発売するとか、ないのかなあ。

 

「Live Under The Sky」とか民放が放送したジャズ系ライブは、ブートまがいの音源がちらほら登場しているのですが、「マウント・フジ・ジャズ・フェスティバル」は公式にCDとして発売されたもの除き、ブートまがいの音源を見かけた事ないような気がします。

 

最初の年である1986年の音源はないもの、山中湖畔で行われた演奏は放送されたものに限り、1987年分から手元にあり、音源とデータの整理も終わっているので、いずれ詳細な放送(オンエア)データを公開しようかと思っております(予定)。