加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Bobby Hutcherson - Dialogue (Blue Note) 1965」新主流派サウンドのショーケース

ブルーノート(Blue Note Records)におけるミルト・ジャクソンMilt Jackson)に続き登場した第二のヴァイブラフォン奏者、ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)。

 

フレディ・ハバードFreddie Hubbard)、サム・リヴァース(Sam Rivers)、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)、リチャード・デイヴィス(Richard Davis)、ジョー・チェンバース(Joe Chambers)という、日本では「新主流派」と呼称されるミュージシャンが参加したブルーノート・初リーダー作が、この「Dialogue (Blue Note BST-84198)」です。

 

「Bobby Hutcherson - Dialogue (Blue Note) 1965」新主流派サウンドのショーケース

 

参加メンバーを書き出しただけで、アルバムで聴ける「音楽」がすぐ想像出来る、強力な個性を持った面々であり、「新主流派サウンドのショーケース」と表現して構わないアルバムなのかもしれません。

 

このアルバムが録音された時代は、ファンキー・ジャズやソウル・ジャズフリー・ジャズが幅を利かせていた時期でもあり、 「Dialogue (Blue Note BST-84198)」はその辺りの「要素」も巧みに取り込んだ多彩な曲調を楽しめるアルバムだと思います。

 

そうすると日本で新主流派(New Mainstream Jazz)と呼称されるミュージシャンとは大雑把に言うと、「モード奏法」と「多彩なリズムを駆使した演奏」を得意とするジャズメンの事を総称したものではないかと思ったりします。

 

「Dialogue (Blue Note BST-84198)」では、アルフレッド・ライオン(Alfred Lion)一押しのピアニスト、アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)が、音楽監督のような立場で「Andrew Hill - Point Of Departure (Blue Note BST-84167)」に 「Eric Dolphy - Out To Lunch (Blue Note BST-84163)」を掛け合わせたような音楽を展開します。

 

Point of Departure

Point of Departure

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しかしながらアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)お気に入りのエリック・ドルフィーEric Dolphy)は前年の1964年6月、ヨーロッパで客死。

そのため本アルバムでは、同系統のマルチ・リード奏者、サム・リヴァース(Sam Rivers)が起用されたのだと思われます。

曲によりフルート、バスクラリネットと持ち替えるサム・リヴァースのサウンドは、知らずに聴いていると エリック・ドルフィーの演奏かと勘違いしてしまう程(私だけか)。


また、ドラムスのジョー・チェンバース(Joe Chambers)も、タイトル曲「Dialogue(会話、掛け合い)」を含む多彩なオリジナル曲を提供しているのもポイントの一つかと。

 

さて、「Bobby Hutcherson - Dialogue (Blue Note BST-84198)」に収録された多彩な曲について少し。

 

オープニングを飾る「Catta」は、マンボのリズムを取り入れたアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の作品。

 


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リズミックで印象的なテーマに続き、重厚なテナーを奏でるサム・リヴァース(Sam Rivers)が登場。


続くフレディ・ハバードFreddie Hubbard)、急激に膨らました風船を破裂させたか様に聴こえる過激なソロを展開し、リーダーにソロを受け渡します。


ソロ最後に登場するボビー・ハッチャーソン、2人の管楽器奏者とは対照的にクールなフレーズを重ねます。


2曲目の「Idle While」は、3/4拍子で演奏されるジョー・チェンバース(Joe Chambers)作曲の落ち着いた感じの作品。


サム・リヴァースはフルートに持ち替え、フレデイ・ハバードはテーマ部をミュート・トランペットで演奏。
ソロではミュートを外し奔放に吹き綴るハバードの後、リリカルなソロを聴かせるハッチャーソンが登場します。

 

3曲目の「Les Noirs Marchant(The Blacks' March)」は、マーチ風なリズムパターンで始まるアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の作品。


これアンドリュー・ヒル流「Out To Lunch」か、アンドリュー・ヒル版「Dialogue(会話、掛け合い)」といった感じの曲です。
ボビー・ハッチャーソンはマリンバに持ち替え、サム・リヴァースは2曲目同様フルートで参加。
フリー気味の演奏途中、リチャード・デヴィスのベースが、何か早口に会話をしているような演奏をする場面が登場します。

 

4曲目(レコード時代ではB面1曲目)でタイトル曲の「Dialogue(会話、掛け合い)」は、ジョー・チェンバース(Joe Chambers)の作品。

 


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雑踏の中で各人がお喋りするような、バックも明確なリズム提示をしない演奏です。


ボビー・ハッチャーソンはマリンバ、サム・リヴァースはバス・クラリネットに持ち替えて参加してます。
リリカルなハッチャーソンのソロ、ホーン奏者二人の強烈なブローありの形容しがたい演奏ですね。


オリジナル・アルバム最後5曲目の「Ghetto Lights」は、6/4拍子で演奏されるアンドリュー・ヒル(Andrew Hill)の、スロー・ファンク。


サム・リヴァースはバス・クラリネット、フレデイ・ハバードはミュート・トランペットで演奏。
ソロではソプラノ・サックスに持ち替えコルトレーンっぽいソロを展開するのが、サム・リヴァース。
お手もの!といった感じでファンキーなソロを奏でるボビー・ハッチャーソンもいいですね。


CD追加曲である6曲目の「Jasper」は、未発表作品集「Bobby Hutcherson - Spiral (Blue Note BN-LT996)」で初公開された曲。

 


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アンドリュー・ヒル(Andrew Hill)作曲による急速調のブルースであり、ブローイング・セッション風にボビー・ハッチャーソン、フレディ・ハバード、サム・リヴァース、アンドリュー・ヒルと、ソロ・リレーが展開されます。

 

Bobby Hutcherson - Dialogue +1 (RVG)
Blue Note BST-84198 / Blue Note 7243 5 35586 2 8 [2002]

side 1 (A)
01. Catta (Andrew Hill)  7:19
02. Idle While (Joe Chambers)  6:37
03. Les Noirs Marchant (Andrew Hill)  6:41

side 2 (B)
04. Dialogue (Joe Chambers)  9:59
05. Ghetto Lights (Andrew Hill)  6:16

Bonus Track
06. Jasper (Andrew Hill)  8:29


Freddie Hubbard (tp) Sam Rivers (ts,ss,bass-cl,fl) Bobby Hutcherson (vib,marimba) 
Andrew Hill (p) Richard Davis (b) Joe Chambers (ds) 

April 3, 1965 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.

 

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