加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「The Three Sounds - Bottoms Up! (Blue Note) 1958,1959」金太郎飴的なブレなき安定したサウンド

ピアノのジーン・ハリス(Gene Harris)、ベースのアンドリュー・シンプキン(Andrew Simpkins)、ドラムスのビル・ダウディ(Bill Dowdy)の3名からなるユニットであるスリー・サウンズ(The Three Sounds)。

 

程よくファンキー、程よくソウル風味をまぶしたサウンドは、当時流行りのジュークボックスに収納するシングルレコードが大量に制作されている事からも、どれだけ人気があったかが伺えます。

 

ジョン・コルトレーンJohn Coltrane)を神と崇める様なシリアス系ジャズを至高とする日本のジャズ評論家さん達の中には、こういう米国で売れ筋のサウンドを、「金太郎飴」と(暗に)揶揄したりしていたそうですが・・・。

 

1980年代初頭から突如、英国で始まる「踊れるジャズ」ブームにより、こういうアルバム群が日本のDJと自称する皆さんの間で、見直される様になったのではないかと、思われます。

 

 

kaji-jazz.hatenablog.com

 

さて、ブルーノート(Blue Note Records)の1500番台を締めくくる「Introducing The 3 Sounds (Blue Note BST-81600)」で、華々しく登場したスリー・サウンズ(The Three Sounds)。

 

 

「The Three Sounds - Bottoms Up! (Blue Note) 1958,1959」金太郎飴的なブレなき安定したサウンド

ブルーノート4000番台に移行した最初のアルバムが、「Bottoms Up! (Blue Note BST-84014)」です。

 

 

このアルバムは3回のセッションから拾遺されており、「Introducing The 3 Sounds (Blue Note BST-81600)」セッション1回目の1958年09月16日から2曲、2回目の1958年09月28日から1曲、そして、1959年02月11日に追加録音された5曲を合わせた、計8曲から編纂されております。


いずれのセッションでも、それぞれアルバム1枚分に相当する量の、リズムパターンが多種多様な曲が録音されておりますが「捨て曲なし」で、「金太郎飴」的な安定した演奏を聴く事が出来ます。

 


1959年02月11日の録音からは、1曲目「Besamo Mucho」、4曲目「Love Walked In」、5曲目「I Could Write A Book」、6曲目「Jinne Lou」、7曲目「Nothing Ever Changes My Love For You」の5曲を収録。

 

また、ジュークボックス盤向けの需要として2枚のシングル盤、「I Could Write A Book / Nothing Ever Changes My Love For You (Blue Note 45-1744)」と、「Besame Mucho / Jinne Lou (Blue Note 45-1743)」が発売されている模様。

 

このセッションの5曲をざっとご紹介すると、印象的なイントロからジーン・ハリス(Gene Harris)がハッピーなブロックコードで盛り上がる1曲目「Besamo Mucho」、アップテンポで軽快に演奏される4曲目「Love Walked In」、アンドリュー・シンプキン(Andrew Simpkins)の長めなベース・ソロから始まり、ジーン・ハリス(Gene Harris)がブロックコードでハッピーに盛り上げる5曲目「I Could Write A Book」、
チェレスタ(celeste)というヴィヴラフォンに似た響きの鍵盤楽器をを効果的に使った
6曲目「Jinne Lou」、ジーン・ハリス(Gene Harris)がブロックコードを多用しつつ陽気に盛り上げる7曲目「Nothing Ever Changes My Love For You」と言う風に、多彩な演奏が揃っております。

 


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「Introducing The 3 Sounds (Blue Note BST-81600)」セッション1回目に相当する1958年09月16日の録音からは、2曲目「Angel Eyes」と、8曲目「Falling In Love With Love」の2曲が収録されております。

 

この日の録音は「Introducing The 3 Sounds (Blue Note BLP-1600)」と、「The 3 Sounds, Vol. 2 (Blue Note BNJ-61019)」にも収録されておりますし、また、ジュークボックス盤向けの需要としてシングル盤「It's Nice / Angel Eyes (Blue Note 45-1724)」が発売された様です。

 

このセッションの2曲をご紹介すると、しっとりとしたバラッド風味に絶妙なファンキー風味を加えた2曲目「Angel Eyes」、ジーン・ハリス(Gene Harris)がシングルトーンで軽快に聴かせる8曲目「Falling In Love With Love」という感じです。

 


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「Introducing The 3 Sounds (Blue Note BST-81600)」セッション2回目に相当する1958年09月28日の録音からは、3曲目「Time After Time」のみの収録。

 

この日の録音は「Introducing The 3 Sounds (Blue Note BLP-1600)」と、「The 3 Sounds, Vol. 2 (Blue Note BNJ-61019)」にも収録されており、また、ジュークボックス盤向けの需要としてシングル盤「Goin' Home / Time After Time (Blue Note 45-1726)」が発売された様です。

 

このセッションからの3曲目「Time After Time」は、ミディアム・テンポでリズミックに演奏されております。

 


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この時期のブルーノート(Blue Note Records)は、モノ盤のジャケットに「STEROシール」を貼って、ステレオ盤(Blue Note BST-84014)を発売していたんですね。

 

「The Three Sounds - Bottoms Up! (Blue Note) 1958,1959」金太郎飴的なブレなき安定したサウンド

※このステレオ盤ジャケットは「Discogs」からお借りしました。

 

The Three Sounds - Bottoms Up! (RVG)
Blue Note BST-84014 / 東芝EMI TOCJ-9071 [1999.01.27]


side 1 (A)
01. Besamo Mucho (Consuelo Velazquez)  4:04
02. Angel Eyes (Matt Dennis)  5:11
03. Time After Time (Jule Styne, Sammy Cahn)  4:51
04. Love Walked In (George & Ira Gershwin)  6:05

side 2 (B)
05. I Could Write A Book (Rodgers & Hart)  4:52
06. Jinne Lou (Gene Harris)  4:54
07. Nothing Ever Changes My Love For You (Jack Segal, Marvin Fisher)  3:07
08. Falling In Love With Love (Rodgers & Hart)  6:45


#02,08  September 16, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
The Three Sounds - Gene Harris (p) Andrew Simpkins (b) Bill Dowdy (ds)

#03  September 28, 1958 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
The Three Sounds - Gene Harris (p, celeste) Andrew Simpkins (b) Bill Dowdy (ds)

#01,04-07  February 11, 1959 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
The Three Sounds - Gene Harris (p, celeste) Andrew Simpkins (b) Bill Dowdy (ds)

 

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