加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)がジャズ名盤の個人的感想など綴ってます。

「Johnny Griffin - Introducing Johnny Griffin (Blue Note) 1956」シカゴの俊英登場

最初期(1940年代後半)にはライオネル・ハンプトンLionel Hampton)楽団等のビックバンドで活動していた俊英、超絶速吹きテナー・サックス奏者のジョニー・グリフィンJohnny Griffin)。

 

「Johnny Griffin - Introducing Johnny Griffin (Blue Note) 1956」シカゴの俊英登場

 

1956年04月17日に録音された「Introducing Johnny Griffin (Blue Note BLP-1533)」は、兵役の関係か軍隊に入隊した後に地元シカゴで活動していたジョニー・グリフィンの、ブルーノート(Blue Note Records)における初リーダー・アルバムです。

 

アート・ブレイキー(Art Blakey)率いるジャズ・メッセンジャーズに入団するのは、1957年だったと思うので、このアルバムはニューヨークに活動拠点を移す前の録音だった様です。

 

さてシカゴの俊英ジョニー・グリフィンJohnny Griffin)をブルーノート(Blue Note Records)のアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)に紹介したのはアート・ブレイキー(Art Blakey)だったようで、「体は小さいが凄腕のテナー奏者がシカゴにいる(意訳)」という感じで、興奮気味に紹介したんだろうと思われます。

 

という事で、ジョニー・グリフィンの演奏を聴いたアルフレッド・ライオン。

何か閃いたのか、いつもの「サイドメンで使って様子を見て・・・」という手順をすっ飛ばし、いきなりリーダー作を作ることを決意した模様です。

 

「Introducing Johnny Griffin (Blue Note BLP-1533)」では、超速テンポでも前乗りで吹ききってしまうジョニー・グリフィンJohnny Griffin)に対抗するためか、ドラムにはこれまた超絶テクニックのマックス・ローチMax Roach)を起用。

 

この録音が行われた2ヶ月後の1956年06月末、交通事故という悲劇的な結末で突如空中分解してしまった「ブラウン=ローチ・クインテット」での演奏を彷彿とさせる、壮絶なドラムを聴かせてくれます。

 

 

ちなみに1956年12月録音の「Sonny Rollins Vol. 1 (Blue Note BLP-1542)」でも、マックス・ローチMax Roach)のドラム、ウィントン・ケリーWynton Kelly)のピアノ、カーリー・ラッセル(Curly Russell)のベースというトリオが、バックで演奏しておりますが、マックス・ローチはやや精彩に欠けた演奏を繰り広げております。

まあ、悲劇の衝撃から立ち直っていないからでしょうけど・・・。

 

 


さて1曲目、超絶テンポであるにもかかわらず前乗りで演奏してしまう「Mil Dew」は、ジョニー・グリフィンの自作曲でありましてマックス・ローチの気合の入った演奏は、「ブラウン=ローチ・クインテット」の名曲「Blues Walk (Sonny Stitt)」を彷彿とさせます。

 


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2曲目、リラックスムード満点の「Chicago Calling」は、ジョニー・グリフィンの力強さの中にユーモアを感じさせる演奏です。このくつろいだ雰囲気は、ソニー・ロリンズSonny Rollins)の演奏に通じるものがありますね。

 

バラッド仕立ての3曲目「These Foolish Things」では、感情豊かに歌い上げるジョニー・グリフィンに思わず感動してしまいます。ソロで続くウィントン・ケリーも、短いながらツボを押さえた演奏を聴かせてくれます。

 

4曲目のミディアム・テンポで演奏される「The Boy Next Door」では、ジョニー・グリフィンは2倍速で気の利いたフレーズを次々吐き出していきます。


5曲目、やや遅めのブルース「Nice And Easy」では、ロングトーン多目でサックスをめいっぱい吹き鳴らすジョニー・グリフィンが凄いです。

 

6曲目、超アップテンポの「It's All Right With Me」では、ジョニー・グリフィンのマシンガンのような連発フレーズのバックで、マックス・ローチが気持ちよくスイングしております。

 


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フレーズの切れ目で聴こえる、ジョニー・グリフィンの唸り声もなかなか(笑)。

 

7曲目オリジナル・アルバムの最後を飾るに相応しい、バラッドの「Lover Man」。

しっとりとした雰囲気の中、ジョニー・グリフィンはサックスを存分に鳴らしきっており、その上で小気味良いフレーズが次々と飛び出します。

 


ボーナス・トラックとして2曲追加されているのが、超絶テンポの「今宵の君は(The Way You Look Tonight)」、そして「ブラウン=ローチ・クインテット」を彷彿とさせる「Cherokee」です。

 


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お蔵入りした理由は、どちらの曲もアナログLPの収録時間であろうと思わせるほど、魅力的な演奏です。

 

ア・ブローイング・セッション+1

ア・ブローイング・セッション+1

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「今宵の君は(The Way You Look Tonight)」は、1957年04月06日に録音された「 Johnny Griffin - A Blowing Session (Blue Note BLP-1559)」でも演奏してましたね。

 

 

Johnny Griffin - Introducing Johnny Griffin (RVG)
Blue Note BLP-1533 / 東芝EMI TOCJ-7123 [2008.07.23] 24 Bit By RVG
/ Blue Note 0946 3 74218 2 6 [2007] RVG Edition

 

side 1 (A)
01. Mil Dew (Johnny Griffin) 3:54
02. Chicago Calling (Johnny Griffin) 5:37
03. These Foolish Things (Strahey-Marvell) 5:09
04. The Boy Next Door (Martin-Blane) 4:54

side 2 (B)
05. Nice And Easy (Johnny Griffin) 4:22
06. It's All Right With Me (Cole Porter) 5:01
07. Lover Man (Ramirez) 7:55

 

CD Bonus Tracks
08. The Way You Look Tonight (Dorothy Fields-Jerome Kern) 6:15
09. Cherokee (R.Noble) 4:00

 

Johnny Griffin (ts) Wynton Kelly (p) Curly Russell (b) Max Roach (ds) 
April 17, 1956 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.