「Bud Powell - The Time Waits (Blue Note) 1958」フィリー・ジョーのドラムに賛否あり
天才ピアニスト、バド・パウエル(Bud Powell)のブルーノート(Blue Note Records)第4弾「The Time Waits (Blue Note BST-81598)」は、ドラムスにフィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)、ベースにサム・ジョーンズ(Sam Jones)を迎えたトリオ編成によるアルバムです。
私の場合、フィリー・ジョー・ジョーンズ(Philly Joe Jones)の派手過ぎるドラムが五月蠅いので、バド・パウエルがブルーノートに残した作品中で、一番聴いてないアルバムだと思います。
フィリー・ジョー・ジョーンズが叩き出すあのパワフルなドラムは、ホーン奏者を煽るには最適かもしれませんが、天才的なひらめき(と狂気)が失われた後の、どちらかというと雰囲気で聴かせる後期バド・パウエルのピアノには、フィットしない気がします・・・。
まあ、バド・パウエル自身もそう感じていたらしく、次作の日本では大人気盤である「The Scene Changes - The Amazing Bud Powell Vol.5」の録音では、ドラマーのアート・テイラー(Art Taylor)に、「シンバル禁止!」、「ブラシだけで演奏しろ!」と言ったとか、言わないとか・・・・。
さて、「The Time Waits (Blue Note BST-81598)」の収録曲を、ざっくりと紹介していおきますね。
1曲目、冒頭からパワフルなドラムが炸裂するラテン調の「Buster Rides Again」、頭からパウエルが唸りまくっております。
「The Scene Changes - The Amazing Bud Powell Vol.5」にも、似たようなタイプの曲がありましたね・・・確か「Gettin' There」だったかな。
アップテンポで軽快に演奏される2曲目「Sub City」は、バド・パウエルがフィリー・ジョー・ジョーンズのドラムに必要以上に煽られていて、ちょっとペースを乱してる風にも聴こえます。
タイトル曲でもある3曲目の「Time Waits」では、心に染み入るようなバラッドを堪能出来ます。
こんな風な哀愁漂う演奏は、ワビサビを心得た日本人の好みとマッチするでしょうねえ・・・。
4曲目、ややテンポの速いビバップ調の「Marmalade」では、サム・ジョーンズ(Sam Jones)の長めのベースソロが挿入されます。
5曲目、ミディアム・テンポの「Monopoly」は、ラフなテーマからバド・パウエルの変化に富んだ演奏を聴くことが出来ます。
6曲目、アップテンポの「John's Abbey」は、もろビバップ風なナンバー。
ハイハットとブラシだけで演奏を盛り上げる、フィリー・ジョー・ジョーンズの生き生きとしたドラム・プレイが凄いですね。
この方法で全曲、演奏してくれればよかったのに(笑)。
7曲目の「Dry Soul」は、オーバーな位「ため」を効かせたブルースです。
オリジナル・アルバム最後となる8曲目は、何故か別テイクの「Sub City」で締め括られます。
なおCDにより、「John's Abbey (alternate take)」が追加されています。
Bud Powell - The Time Waits (The Amazing Bud Powell Vol. 4) +1 (RVG)
Blue Note BST-81598 / Blue Note 7243 5 21227 2 1 [1999] RVG Edition
side 1 (A)
01. Buster Rides Again (Bud Powell) 5:30
02. Sub City (Bud Powell) 4:32
03. Time Waits (Bud Powell) 5:06
04. Marmalade (Bud Powell) 4:28
side 2 (B)
05. Monopoly (Bud Powell) 4:47
06. John's Abbey (Bud Powell) 5:36
07. Dry Soul (Bud Powell) 6:41
08. Sub City [alternate take] (Bud Powell) 2:36
CD bonus track
09. John's Abbey (alternate take) (Bud Powell) 2:25
Bud Powell (p) Sam Jones (b) Philly Joe Jones (ds)
May 24, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.