私にとってのジョージ川口というドラマーは、今は亡き野外ジャズフェスティバル「マウントフジ・ジャズフェスティバル(Mt.Fuji Jazz Festival with Blue Note)」で、アート・ブレイキー(Art Blakey)のジャズメッセンジャーズと共演する姿が最初。
口ひげを生やしたおじさんが、和太鼓を連打するみたいなスクエアなスネアの叩き方で、アート・ブレイキーとドラムバトルを繰り広げる印象しか、なかったんす・・・。
柔軟かつ的確にバッキング(スイング)してるアート・ブレイキーと比較して、「なんかロックっぽいドラムの叩き方するヒトだなあ」と思ってたり。
で、今回紹介するアルバム「The Big 4 (Three Blind Mice)」を、何気に聴いて吃驚。
1970年には、こんなスンゴい演奏してたんだ(笑)!と。
後半に補足しますが、ビックバンドスイング時代に活躍したドラマー、ジーン・クルーパ(Gene Krupa)をアイドルとした、豪快でド派手な演奏スタイルで、アルバム全編、叩きまくっております。
そこにスリーピー(Sleepy)の愛称で親しまれる松本英彦さんの、これまた豪快なサックスが絡む事で、演奏に更なる勢いが生まれております。
松本英彦さんの演奏スタイルをネットで何方かが「テクニック的にはソニー・ロリンズ(Sonny Rollins)、音色はハンク・モブレー(Hank Mobley)に近い」と書いていて、なるほどー、と思ったり。
ピアノの市川秀男さんは、ジャズ・ジャーナリストの小川隆夫さんが行ったインタビューを読むと、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)に興味を持ちつつ、ウイントン・ケリー(Wynton Kelly)のピアノスタイルに影響を受けた・・・とあります。
そういう情報を仕入れた上でこのアルバムを聴くと、上記2名のピアニストの演奏スタイルが見え隠れする部分が何となく聴こえてきます。
まあ、何となくですが(笑)。
ベースの水橋孝さんは、ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)やロン・カーター(Ron Carter)との共演歴もある世界的に有名なベーシスト。
正確無比で骨太なバッキングが気に入られ、アーチー・シェップ(Archie Shepp)のヨーロッパ長期ツアーにも参加していたそうです。
さて、アルバム「The Big 4 (Three Blind Mice)」の中から1曲だけ選べと言われたら、やっぱり1曲目、市川秀男さん作曲の「Invader 7」でしょうねえ。
The Big 4 - George Kawaguchi's The Big 4 (1976)
Three Blind Mice TBM-66 / Sony Music Direct MHCP-10033 [2006.12.20]
side 1
01. Invader 7 (市川秀男) 8:15
02. Blues For Big-Talk George (松本英彦) 4:24
03. Monday Samba (松本英彦) 7:41
side 2
04. Albatros (松本英彦) 6:39
05. Sleepy's Funk (松本英彦) 8:30
06. Love For Sale (Cole Porter) 6:56
ジョージ川口とビッグ4
松本英彦 (ts, fl) 市川秀男 (p, el-p) 水橋孝 (b) ジョージ川口 (ds)
東京エピキュラススタジオ April 12 & 19, 1976
ネットでイロイロ検索すると、ジョージ川口さんの情報には「ジーン・クルーパ(Gene Krupa)にあこがれてドラムを習得」とありますんで、参考映像を貼っておきます。
参考映像を見るとジョージ川口さんの演奏スタイルは、確かにジーン・クルーパのスタイルを踏襲してますね・・・。
ビックバンドスイング時代に活躍したドラマーをアイドルとしてるんで、アート・ブレイキーのハード・バップ・スタイルと聴き比べると、叩き方がスクエアな印象がしたんですね。
蛇足ですが「マウントフジ・ジャズフェスティバル」は、「NHK-FM」がPCMデジタル録音しております。
で、デジタル録音の音は、アナログ録音時代と比較して若干ですが音が固く、スイング時代のドラムスタイルの録音には向かないという点もある事、補足しときます。
ジョージ川口さん以外のメンバーのリーダー作も参考までに。
こうしてみると、ジョージ川口さんのバンドには、日本にも世界的に通用するミュージシャン達が参加してたんですね。
後で詳細調べてみようと思ってますが、渡辺貞夫さん、山下洋輔さん、日野皓正さんら、世界に通用する一流ジャズミュージシャンの発掘・育成も行っていたようです。