加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Charlie Parker & Chet Baker - Inglewood Jam 1952」バードとチェットの伝説的な共演

1952年、西海岸のカリフォルニアに単身現れたチャーリー・パーカーCharlie Parker)は、現地のミュージシャンを雇ってライブをするため、オーディションを行います。

 

そこで選ばれたトランペッターは、まだ無名だった若き日のチェット・ベイカーChet Baker)。

 

オーディション会場でチェットの演奏を聴いた後、「本日のオーディションは終了だ」といって集まったミュージシャンを解散させたそうなので、バード(チャーリー・パーカー)は、彼の演奏をかなり気にいったのでしょうね。


今回ご紹介するアルバム「Charlie Parker & Chet Baker - Inglewood Jam」は1952年06月16日、カリフォルニアのイングルウッドという地区にあったレストラン・バー「トレード・ ウィンズ(Trade Winds)」のラウンジで行なわれたジャム・セッションの様子を記録したもの。

 

我々がほとんど名前を聞いた事のないベーシスト、ハリー・ババシン(Harry Babasin)をリーダーとするバンドでの演奏だった様です。

 

「Charlie Parker & Chet Baker - Inglewood Jam 1952」バードとチェットの伝説的な共演

 

ブートもどきの録音なので、様々なレコード会社から別ジャケットのCDが発売されておりますが、イタリアのレコード会社「Fresh Sound Records」から発売されたブツが比較的容易に入手出来ると思われます。

 

「Charlie Parker & Chet Baker - Inglewood Jam 1952」バードとチェットの伝説的な共演


主にソロを演奏するメンバーは、トランペットのチェット・ベイカーChet Baker)、アルトサックスのソニー・クリスSonny Criss)とチャーリー・パーカーCharlie Parker)で、ピアノの席には、アル・ヘイグ(Al Haig)と1曲だけラス・フリーマン(Russ Freeman)が座ります。

 

チャーリー・パーカーCharlie Parker)が参加するからか、西海岸のクールな演奏とはほど遠い、ビバップ風の派手で熱い演奏が繰り広げております。

 

 

ちなみにチェット・ベイカーChet Baker)は、ジェリー・マリガンGerry Mulligan)の有名なるピアノレスカルテットに参加してスタジオ録音を残す直前の演奏の様です。

 

 

チェット・ベイカーChet Baker)の演奏はまだ粗削りで、ビバップ期のマイルス・デイヴィスMiles Davis)の演奏を模倣しただけの様な没個性に感じられますが、チャーリー・パーカーCharlie Parker)と共演してもビビらずバリバリ吹く様子は、最初期から度胸の良さとテクニシャンぶりが目立っていた事を我々に教えてくれます。

 

マイルス・デイヴィス&ザ・ライトハウス・オールスターズ

 

近年の音質改善技術のお陰で、ブートまがいの録音もかなり綺麗な音で聴ける時代になりましたが、あくまで「歴史的に価値のある」録音である点を重視して発売された音源なので、ひたすら素晴らしいオーディオの音だけを求める層にはお勧め致しません(笑)。

 

また、レストラン・バーのラウンジで行われたジャム・セッションでありますので、バンド演奏のクオリティやアンサンブルなどを求めてはいけません(笑)。

 

 

1曲目「The Squirrel」は、タッド・ダメロン(Tadd Dameron)の作品で、約15分弱にも及ぶ長尺の演奏です。

 


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ソロの順番は下記の通り。

Sonny Criss - Chet Baker - Al Haig - Sonny Criss - Chet Baker - Charlie Parker

 


2曲目「Irresistible You」は、比較的ゆったりとした6分ほどの演奏。

 

ソロの順番は下記の通り。


Charlie Parker - Chet Baker - Sonny Criss - Al Haig」

 


3曲「Indiana (Donna Lee)」は、11分程のアップテンポで演奏されております。

 


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ソロの順番は下記の通り。


Charlie Parker - Chet Baker - Sonny Criss - Russ Freeman - Charlie Parker - Chet Baker - Sonny Criss - Russ Freeman」

 


4曲目「Liza」はガーシウィン兄弟(George Gershwin & Ira Gershwin)による作品で、10分弱のアップテンポで演奏されてますね。

 


www.youtube.com

 

ソロの順番は下記の通り。


Charlie Parker - Chet Baker - Sonny Criss - Al Haig - Harry Babasin - Charlie Parker - Chet Baker - Sonny Criss - Charlie Parker - Chet Baker - Al Haig」

 

まあ、何度も書きますが「歴史的価値」のある音源という事で発売されてはおりますが、音質的に物足りない方が居るかとは思われます。

 

なので、お気に入りのミュージシャンがソロで登場したら、その演奏だけに集中し拝聴するという、ネットを見つつとか、本を読んだり好きな飲み物片手に、気楽にお聴き下さいませ。

 

Charlie Parker & Chet Baker - Inglewood Jam

Jazz Chronicles JCS-102 / Art Union ABCJ-350 / 
Fresh Sound Records FSR-407 / Time Is Records TI-9801 / 
Charly Records LE JAZZ CD-48 / 


01. The Squirrel (Tadd Dameron)  14:43
02. Irresistible You (Gene DePaul / Don Raye)  6:13
03. Indiana (Donna Lee) (Hanley - McDonald, Parker)  11:06
04. Liza (George Gershwin & Ira Gershwin)  9:53


Chet Baker (tp) Sonny Criss (as) Charlie Parker (as) 
Al Haig (p #1,2,4) Russ Freeman (p #3) Harry Babasin (b) Lawrence Marable (ds)

June 16, 1952 at Trade Winds Club, Inglewood, CA.