加持顕のジャズに願いをのせて

新潟在住の加持顕(かじあきら)が、ジャズの名盤について個人的感想を気まぐれに投稿。

「Horace Silver - The Stylings Of Silver (Blue Note) 1957」知的でマイルドなアルバム

ホレス・シルヴァーHorace Silver)がブルーノート(Blue Note Records)の1500番台に残したアルバムは名作揃いですが、そのうちの1枚がこの「The Stylings Of Silver (Blue Note BLP-1562)」です。

最初に輸入盤(Liberty)の中古レコードで買って、RVGリマスターのCDに買い換えた位、好きな1枚。

 

「Horace Silver - The Stylings Of Silver (Blue Note) 1957」知的でマイルドなアルバム

フロントは、テナーサックスのハンク・モブレーHank Mobley)と、トランペットは前任のドナルド・バードDonald Byrd)に代わり、アート・ファーマーArt Farmer)が参加しております。

 

さて、私の思い描くホレス・シルヴァーHorace Silver)の大雑把なイメージはというと、ファンキー&ブルージーでリズム・パターンが複雑・・・といった感じ。


そんな(私的に)典型的なイメージを良い意味で裏切ってくれるのが、この「The Stylings Of Silver (Blue Note BLP-1562)」だったりします。

 

前作「Horace Silver - 6 Pieces Of Silver(Blue Note BLP-1539)」は、エキゾチック&ブルージーな大ヒット・ナンバー「Senor Blues」のイメージが強いですが、今回は方向転換した「知的でマイルドな感じ」が、ジャケットからも漂ってきます。

 

6・ピーシズ・オブ・シルヴァー+3

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なんでかなあ、とアルバムを聴きながら思いを巡らせてみると・・・。

 

ハンク・モブレーHank Mobley)とアート・ファーマーArt Farmer)という控えめながらも味のある演奏をするフロント2人のマイルドな雰囲気が、ホレス・シルヴァーHorace Silver)のアクの強さ(笑)を和らげているのではないかと・・・。


おいしいんだけど濃くてにがーいコーヒーに、ミルク(乳製品でもよし)を混ぜた様なものですね(笑)。

 

そんな訳で、アート・ファーマーが参加したホレス・シルヴァークインテットは、どんどん「知的探求」を突き進める事になります・・・良くも悪くも。

 

ファーザー・エクスプロレーションズ

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時間の都合にて詳細は省きますが、「The Stylings Of Silver (Blue Note BLP-1562)」に収録されたホレス・シルヴァーのオリジナル曲は、曲を構成する基本単位となる「小節数」がちょっと変わってます。


スタンダートでありがちな「8・16小節(AABA形式?)」や、ブルース形式でお馴染みな「12小節」を元に、「1小節減らし」たりブリッジなどの「おまけを加えている」みたいです。


まあ、そんな小細工を気にする事無く、聴き通せてしまうのが本アルバムの凄い所でしょう。


1曲目、急速調の「No Smokin'」は、前作までのハードバップ路線の延長線上にある曲ですね。

 

2曲目、ミドルテンポの「The Back Beat」は、やや落ち着いた感じがする曲ですが、テーマ部を聴いているとニューヨークの街並みを闊歩するホレス・シルヴァーの姿が思い浮かんできます。

 

3曲目の「Soulville」はタイトルからも推測される通り、「Senor Blues」や「Doodlin'」タイプの重厚なファンク・ナンバー。

 

4曲目の「Home Cookin'」は、軽快でマイルドなファンキー・ナンバー。

 


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5曲目の「Metamorphosis」は、前述の通り凝った構成の曲。

 


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ただ、どの部分のメロディもホレス・シルヴァーらしいキャッチーさがあり、とても聴きやすく魅力的であります。

 

6曲目、アルバム最後に収録されたのは、唯一のスタンダード・ナンバー「My One And Only Love」。

 


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ミディアム・テンポで演奏される優雅というか慈愛に満ち溢れた感じがする曲の仕上がりとなっております。

 

テーマ部からホレス・シルヴァーらしい編曲というか仕掛けが施されており、クインテット編成によるジャズの演奏で、こんなに優しい思いにさせてくれる曲は、珍しいのではないかと思われます。

 

Horace Silver - The Stylings Of Silver (RVG)
Blue Note BLP-1562 / 東芝EMI TOCJ-9113 [1999.07.23] 24 Bit By RVG


side 1 (A)
01. No Smokin' (Horace Silver)  5:35
02. The Back Beat (Horace Silver)  6:24
03. Soulville (Horace Silver)  6:20

side 2 (B)
04. Home Cookin' (Horace Silver)  6:31
05. Metamorphosis (Horace Silver)  7:19
06. My One And Only Love (Wood, Mellin)  7:00


Art Farmer (tp) Hank Mobley (ts) Horace Silver (p) 
Teddy Kotick (b) Louis Hayes (ds) 

May 8, 1957 at Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.

 

ザ・スタイリングス・オブ・シルヴァー

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しかし長年、ブルーノート(Blue Note Records)に在籍していただけあり、ホレス・シルヴァーHorace Silver)のベストアルバムの類は数多、発売されているんですね。

 

Best of by Horace Silver

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Very Best of

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