スイス・レマン湖畔のリゾート地・モントルー(Montreux)で毎年夏の時期に開催される「モントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)」。
1973年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでは、ブルーノート(Blue Note)の社長であったジョージ・バトラー(George Butler)が企画したライブが開催され、同レーベルの看板アーティスト達が熱いライブを繰り広げていた様です。
ボビー・ハッチャーソン(Bobby Hutcherson)、ロニー・フォスター(Ronnie Foster)、マリーナ・ショウ(Marlena Shaw)、ボビー・ハンフリー(Bobbi Humphrey)のライブは後日、ライブアルバムとして発売されました。
●Bobby Hutcherson - Live At Montreux (Blue Note BN-LA249-G) 1974
●Ronnie Foster - Live At Montreux (Blue Note BN-LA250-G) 1974
●Marlena Shaw - Live At Montreux (Blue Note BN-LA251-G) 1974
●Bobbi Humphrey - Live At Montreux (Blue Note BN-LA252-G) 1974
さて、発掘音源として2022年12月に発売されたライブは、当時の看板アーティストの一人、ドナルド・バード (Donald Byrd)のライブで、タイトルは「Live: Cookin' with Blue Note at Montreux (Blue Note 602445998395)」です。
この音源発掘の経緯なんですが・・・。
2013年にドナルド・バード (Donald Byrd)が亡くなった際、イギリス・ジャズ・シーンの中心人物とも言える、ジャイルズ・ピーターソン(Gilles Peterson)から、
「1973年のモントルー・ジャズ・フェスティバルでのドナルド・バード (Donald Byrd)のライブが公式に録音されていたはずなんだけど、テープは残っているかな(意訳)」
という感じの問い合わせメールが届き、保管庫を探してみたら該当する「16トラック、2インチのアナログ・マスター・テープ」が発掘された・・・という事らしいです。
1972年11月に録音され、1973年に発売されるや大ヒットとなった「Donald Byrd - Black Byrd (Blue Note BN-LA047-F)」を引っ提げてのライブだった訳ですが。
1973年07月05日に行われたモントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)でのライブでは、表題曲「Black Byrd」が演奏され、スティービー・ワンダー(Stevie Wonder)のカバー「You've Got It Bad Girl」も演奏された様です。
残り「The East」、「Kwame」、「Poco-Mania」という3曲は、ドナルド・バード (Donald Byrd)書下ろしの新曲の様で、ライブ・アルバム発売を想定した選曲であった事が伺えます・・・演奏を聴く限りにおいては、お蔵入りしたのが不思議な位の熱演が全編で繰り広げられております。
まあ、ブートもどきの画質が悪い映像もネットにアップされているので、「モントルー・ジャズ・フェスティバル(Montreux Jazz Festival)」関連映像の一つとして、すでに何処かで公開していたのかもしれませんね。
さて、ドナルド・バード (Donald Byrd)が率いる10人編成のバンド・メンバーは、リーダーでトランペット、フリューゲルホルン、ヴォーカルのドナルド・バード (Donald Byrd)、トランペットとヴォーカルのフォンス・マイゼル(Fonce Mizell)、テナー・サックスとフルートのアラン・バーンズ(Allan Barnes)、テナー・サックスとソプラノ・サックスのネイサン・デイヴィス(Nathan Davis)、エレクトリック・ピアノのケヴィン・トニー(Kevin Toney)、シンセサイザーのラリー・マイゼル(Larry Mizell)、エレクトリック・ベースのバーニー・ペリー(Barney Perry)、エレクトリック・ベースのヘンリー・フランクリン(Henry Franklin)、ドラムスとヴォーカルのキース・キルゴ(Keith Killgo)、コンガとパーカッションのレイ・アルマンド(Ray Armando)となっております。
1曲目「Black Byrd (Laurence C Mizell) 」は、大ヒットアルバム「Black Byrd (Blue Note BN-LA047-F)」の表題曲。
演奏の勢いと、ライブならではの疾走感がたまりませんね。
2曲目「You've Got It Bad Girl (Stevie Wonder)」は、スティービー・ワンダー(Stevie Wonder)のカバー。
ネイサン・デイヴィス(Nathan Davis)のソプラノ・サックスによる熱いソロ、続くドナルド・バード (Donald Byrd)のメローなフリューゲルホルンによるソロが素晴らしいですね。
3曲目「The East (Donald Byrd)」は、書下ろしの新曲(未発表)で、ほのかなトロピカルムードを醸し出すスロー・ファンクですね。
4曲目「Kwame (Donald Byrd)」は、書下ろしの新曲(未発表)で、シンセサイザーとゴングの響きが、ほのかに中華テイストを醸し出しております。
5曲目「Poco-Mania (Donald Byrd)」は、書下ろしの新曲(未発表)。
超高速で荒れ狂うリズム隊をバックに、フロントの4管がリフを挟んだソロ・リレーを展開する様は、ブレッカー・ブラザーズの「Some Skunk Funk」みたいだなあ・・・と思ったり(笑)。
多少、劣化はしている様ですが、「公式映像」も残っているようなので、次回再発する際は現存する映像をDVDか、アップコンバートしたブルーレイにして、「デラックス版」とかいう形で再発して欲しいですね。
Donald Byrd - Live: Cookin' with Blue Note at Montreux
Blue Note 602445998395 [2022.12]
side 1 (A)
01. Black Byrd (Laurence C Mizell) 8:11
02. You've Got It Bad Girl (Stevie Wonder) 7:43
03. The East (Donald Byrd) 9:19
side 2 (B)
04. Introductions 2:58
05. Kwame (Donald Byrd) 11:50
06. Poco-Mania (Donald Byrd) 5:22
Donald Byrd (tp,flh,vo) Fonce Mizell (tp,vo) Allan Barnes (ts,fl) Nathan Davis (ts,ss)
Kevin Toney (el-p) Larry Mizell (synth) Barney Perry (el-g) Henry Franklin (el-b)
Keith Killgo (ds,vo) Ray Armando (congas, per)
July 5, 1973 at Montreux Jazz Festival, Montreux, Switzerland.
ドナルド・バード (Donald Byrd)のライブ「Live: Cookin' with Blue Note at Montreux (Blue Note 602445998395)」を入手してから、延々リピートしまくっていたのですが、そんな若干の中毒性を持った演奏です、これ。
因みに、ドナルド・バード (Donald Byrd)が「BN-LA series」に残したアルバム群は下記の通りです。
●Donald Byrd - Black Byrd (Blue Note BN-LA047-F) 1973
●Donald Byrd - Street Lady (Blue Note BN-LA140-F) 1973
●Donald Byrd - Steppin' Into Tomorrow (Blue Note BN-LA368-G) 1975
●Donald Byrd - Places And Spaces (Blue Note BN-LA549-G) 1975
●Donald Byrd - Caricatures (Blue Note BN-LA633-G) 1976
●Donald Byrd's Best (Blue Note BN-LA700-G) 1976