ソニー・クラーク(Sonny Clark)という短命だったミュージシャンが、1958年に
ブルーノート(Blue Note Records)に録音した「Cool Struttin' (Blue Note BST-81588) 」。
日本では「美脚ジャケット」に魅せられて購入する方も多いと噂される、ベストセラーアルバム。中身聴かず、ジャケット飾って眺めるだけの人も多そうですね・・・。
アメリカ本国でも「知る人ぞ知る」的なミュージシャンであったソニー・クラークが、
日本では好セールスを記録してた理由の一つが、弾きすぎず、音と音の「間」を上手く使った知的で上品とも言える演奏スタイルにあった事は、容易に想像出来ます。
名盤ひしめくブルーノートの1500番代後半にソニー・クラークが多数参加している理由は、人気が出てツアーに出かける機会が多くなったホレス・シルヴァー(Horace Silver)の後任として、ブルーノートのハウス・ピアニストとして抜擢されたからだそうです。
アルバム「Cool Struttin' (Blue Note BST-81588) 」では、ソニー・クラーク(Sonny Clark)を第二のホレス・シルヴァーとして売り出すべくブルージーかつファンキーな路線を狙ってたようです。
その意を受け、演奏したのがフロントのアート・ファーマー(Art Farmer)と、ジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)。
ソニー・クラークの演奏をよりブルージーに、かげりある演奏に聴こえるよう、心掛けてた模様。
アルバムでは、1曲目のブルース「Cool Struttin'」が有名ですね。
私も大学時代から譜面を指で覚えてる位練習してるので、今でも時々演奏します。
当時のダウン・ビート誌で酷評されたらしい4曲目「Deep Night」。
ピアノ・トリオからスタートし、フロントの二人がソロに加わった後、再びピアノ・トリオで終わるという粋な構成です。
当時はフロント2人がソロだけに参加するのは「手抜き」だとか書かれてたらしい(伝聞)らしいですが、ピアノ・トリオだけになると、ブルージーさが薄れて聴こえたんでしょうね。
その点を逆説的に捉えると、このアルバムのブルージーかつファンキーな雰囲気は、
フロント2人の努力の賜物だったと言えてしまう訳です(笑)。
Sonny Clark - Cool Struttin' (RVG)
Blue Note BST-81588 / 東芝EMI TOCJ-9002 [1998.07.23]
side 1 (A)
01. Cool Struttin' (Sonny Clark) 9:23
02. Blue Minor (Sonny Clark) 10:19
side 2 (B)
03. Sippin' At Bells (Miles Davis) 8:18
04. Deep Night (Charles Henderson, Rudy Vallée) 9:34
Art Farmer (tp) Jackie McLean (as)
Sonny Clark (p) Paul Chambers (b) Philly Joe Jones (ds)
January 5, 1958 at Rudy Van Gelder Studio, Hackensack, NJ.
ジャケットに映る美脚の持ち主は誰か?日本でも長年話題になってたようですが、「ブルーノートの真実(小川隆夫著)」におけるアルフレッド・ライオン(Alfred Lion)自身の証言によると、アルバム・デザインを担当した、リード・マイルス(Reid Miles)のアシスタントなんだそうです。
ただ近年、この美脚は後にライオンの妻となるルース・メイソン(Ruth Mason)のものである、という説が流れているそうですが・・・さてさて、果たして真実は如何に。
ソニー・クラーク(Sonny Clark)が好調だった演奏が聴けるのは1957年頃のようです。
「Sonny Clark - Sonny's Crib (Blue Note BLP 1576)」1957
「Sonny Clark Trio (Blue Note BLP 1579)」1957
「Lee Morgan - Candy (Blue Note BLP 1590)」1957
「Louis Smith - Smithville (Blue Note BLP 1594)」1958