緑色のジャケットが素敵な「春の如く(It Might as Well Be Spring)」は、ブルー・ノート(Blue Note Records)で、運転手とA&R(アーティストと楽曲の管理)も担当していたテナーサックス奏者、アイク・ケベック(Ike Quebec)のアルバムです。
ソフィスティケイトされた「ブルース&ソウル」が好みの方は、是非ともお聴きくださいませ。バックで控えめな演奏に終始するオルガンもよろしいです。
「ジャズマンがコッソリ愛する ジャズ隠れ名盤100/小川隆夫(河出書房新社)」で紹介される1枚目が、この作品なんですね。ホント感慨深いです。
本の中でこのアルバムを、2人の有名ジャズマンがコメントしております。
1986年のインタビューではスタンリー・タレンタイン(Stanley Turrentine)は「内容はとてもいいんだがね」、「才能に溢れたプレイヤーなんだけどもね」と評価。
1998年のインタビューでジャッキー・マクリーン(Jackie McLean)は、「とってもいいやつだったんだが」、「歌心がある」と褒めちぎっております。
一流ミュージシャンである2人のコメントからも、このアルバムの良さが分かってもらえるでしょう。
1曲目のタイトル曲「春の如く(It Might As Well Be Spring)」は、フレディ・ローチ(Freddie Roach)の朝霞漂ようなオルガンのイントロに導かれ、程好いソウル&ブルース・フィーリング醸し出すテナーが聴こえて来るというリラックス度満点の1曲。
2曲目の「A Light Reprieve」と、3曲目の「Easy - Don't Hurt」は、アイク・ケベックのオリジナル。テンポは違えど、どちらもソウルフルな曲です。
4曲目のバラッド「Lover Man」でしみじみし、5曲目アップテンポの「Ol' Man River」では、ケベックの軽快なブローが楽しめます。
ただコテコテのホンカー風にブローする「Ol' Man River」は、アルバム内で浮いて聴こえるのが難点(笑)。
Ike Quebec - It Might As Well Be Spring (RVG)
Blue Note BST-84105 / 0946 3 62652 2 3 [2006] RVG Edition
side 1 (A)
01. It Might As Well Be Spring (O. Hammerstein, R. Rodgers) 6:16
02. A Light Reprieve (Ike Quebec) 5:19
03. Easy - Don't Hurt (Ike Quebec) 6:04
side 2 (B)
04. Lover Man (Davis, Sherman, Ramirez) 5:53
05. Ol' Man River (J. Kern, O. Hammerstein) 6:31
06. Willow Weep For Me (Ann Ronell) 5:19
Ike Quebec (ts) Freddie Roach (org) Milt Hinton (b) Al Harewood (ds)
December 9, 1961 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
という訳で、アイク・ケベック(Ike Quebec)のアルバム「春の如く(It Might As Well Be Spring)」のご紹介でした。
ゴリゴリの「ハード・バップ」や「コテコテ・サウンド」が好みの方は、箸休め的な1枚としてどうぞ。