1968年03月に2回に分けて録音されたハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の代表作の1枚「Speak Like A Child (Blue Note BST-84279)」は、ひたすら美しいメロディとアンサンブルを堪能出来る一枚。
夕景をバックに撮影されたハービーのシルエットも印象的でもあり、ロマンテックな収録曲のイメージをさらに膨らませる事が出来ます。
さてアルバム「Speak Like A Child (Blue Note)」はハービー・ハンコックのピアノ・トリオが中心。
ホーン奏者は「バックでアンサンブルだけを演奏する」という、ブルーノート(Blue Note Records)らしからぬ、主従逆転的な構成となっております。
参加するホーン奏者がバック(アンサンブル)に徹することで、ピアノ・ソロやアンサンブル(曲自体も!)の美しさがより引き立つ効果をもたらしております。
アルバムオープニングの「Riot」は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のアルバム「Miles Davis - Nefertiti(Columbia CS-9594)」でも演奏された曲。
小気味良いテンポにのって疾走するハービーのソロが、とても美しく思えるトラックです。
2曲目はアルト・フルートの音色が特に心地よいボサ・ノヴァ調の「Speak Like A Child」。
3曲目はトリオで演奏されるロン・カーター作曲のちょっとファンキーな「First Trip」。
4曲目の「Toys」は、ハービー・ハンコックが「Miles Davis - Miles Ahead (Columbia CL-1041)」に収録されたギル・エヴァンス(Gil Evans)作曲「Blues For Pablo」をイメージして作曲したものだそうです。
こちらはテーマ部でベース・トロンボーンの重低音が効いてます。
5曲目はちょっとセンチメンタルな気分になる「Goodbye To Childhood」。
ラストの「The Sorcerer」は、マイルス・デイヴィス(Miles Davis)のアルバム『Sorcerer(Columbia CL-2732)』のタイトルトラックとしても演奏された曲。
ややアップテンポ気味、トリオだけによる演奏です。
最後に。
ハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の「Speak Like A Child (Blue Note)」というアルバムは、「クールの誕生(Birth Of The Cool)」でマイルス・デイヴィス(Miles Davis)が行った「ビックバンドのアンサンブルを小編成のコンボに置き換える」手法を参考に作られたものだとも言えます。
マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンス(Gil Evans)が共同作業で造り上げた「Miles Davis - Miles Ahead (Columbia CL-1041)」で聴かれる、重厚な暖色系アンサンブル。
それをハービー・ハンコックは、フリューゲル・ホルン、ベース・トロンボーン、アルト・フルートという珍しい編成の暖色系三管アンサンブルに置き換え表現してみた・・・という事の様です。
Herbie Hancock - Speak Like A Child +3 (RVG)
Blue Note BST-84279 / 東芝EMI TOCJ-66408 [2006.09.20]
side 1 (A)
01. Riot (Herbie Hancock) 4:40
02. Speak Like A Child (Herbie Hancock) 7:50
03. First Trip (Herbie Hancock) 6:01
side 2 (B)
04. Toys (Herbie Hancock) 5:52
05. Goodbye To Childhood (Herbie Hancock) 7:06
06. The Sorcerer (Herbie Hancock) 5:36
Bonus Tracks
07. Riot (alternate take) (Herbie Hancock) 4:55
08. Riot (2nd alternate take) Herbie Hancock) 4:40
09. Goodbye To Childhood (alternate take) (Herbie Hancock) 5:49
#01-03,07,08 March 6, 1968 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
Thad Jones (flh) Peter Phillips (bass-tb) Jerry Dodgion (alto-fl)
Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Mickey Roker (ds)
#04-06,09 March 9, 1968 at Van Gelder Studio, Englewood Cliffs, NJ.
Thad Jones (flh) Peter Phillips (bass-tb) Jerry Dodgion (alto-fl)
Herbie Hancock (p) Ron Carter (b) Mickey Roker (ds)
CDによっては追加曲として「Riot」の2テイク、「Goodbye To Childhood」の別テイクが収録されております。
収録曲の内2曲は前述の通り、マイルス・デヴィス(Miles Davis)のアルバムにも収録されているので一度、聴き比べるのも面白いと思われます。
「Miles Davis - Nefertiti (Columbia CS-9594)」
「Miles Davis - Sorcerer (Columbia CL-2732)」
そういえば「Nefertiti (Columbia CS-9594)」と「Sorcerer (Columbia CL-2732)」は、2枚合わせると見つめあってる風のジャケットですよね。
マイルス・デイヴィスとギル・エヴァンス(Gil Evans)が共同作業で造り上げた「Miles Davis - Miles Ahead (Columbia CL-1041)」は、「Blues For Pablo」こちら。
「Miles Davis - Miles Ahead (Columbia CL-1041)」
マイルス・デイヴィス(Miles Davis)の影響化で才能を開花していったハービー・ハンコック(Herbie Hancock)の凄さが実感出来るアルバムでもあります。